詩人の北原白秋が作詞を行い、町田嘉章が作曲した静岡県の新民謡「ちゃっきり節」。その歌い手日本一を決める「静岡・ちゃっきり節日本一全国大会」(静岡県民謡協会主催)が、5月22日に静岡県の三島市民文化会館で行われ、南区相模台で活動する民謡歌手・今井菜々さん(38)が初の栄冠を手にした。
29回目となる今大会には全国から約100人が出場。予選で女性30人、男性10人を選び、その中からそれぞれ優勝者を決定。その後、優勝者同士による「日本一決定戦」が行われた。
女性の部で優勝した今井さんは、男性の部優勝の荒古隆生さん(東京都)との決定戦に進出。審査員の意見が分かれ、大会史上初となった2度の決定戦を見事に勝ち抜き、初の頂点に立った。同大会には幾度も挑戦しながら、3位が最高位だった今井さん。「日本一は初めての経験。とてもうれしい」と笑顔を見せた。
民謡と歩んで30年
今井さんが民謡を始めたのは、津軽三味線小山(おやま)流準総師範の腕前を持つ母・綾子さん(78)の影響。自宅で教室を開いていた母の隣で5歳から手踊りを始め、10歳で小山流津軽三味線、12歳で美波(みなみ)流太鼓を習った。高校生の時に「津軽よされ節」舞踊の部でコンクールに初出場し、準優勝。その後はプロの民謡歌手・石川喜代美氏に師事し、芸能活動をスタートさせた。
現在は相模台にある相模原教室で唄、踊り、津軽三味線などを指導する傍ら、舞台やイベントなどにも多数出演中。また、2児の母親でもある。実は今大会の直前に子どもが体調を崩し、出場を諦めることも考えた。しかし、「夫が『自分がみているから行っておいで』と背中を押してくれた。最高の報告ができて良かった」と愛する家族への感謝を口にする。
今井さんの次の目標は、神奈川県が誇る民謡「箱根(はこね)馬子唄(まごうた)」の全国大会で優勝すること。また、民謡の魅力を広く伝えていくことだ。「地域の催事など、声がかかれば積極的に参加したい。生まれ育った街に少しでも恩返しがしたいですね」と今井さんは話している。
さがみはら南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|