子どもの学力把握を目的に文部科学省が実施している「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の今年度の結果がこのほど公表された。今年から都道府県とは別に政令市ごとの数値も示され、相模原市の平均正答率は全国平均を下回った。調査結果を受け、市教育委員会(市教委)は基礎的な知識や能力に課題が見られると分析。生活習慣などに関するアンケートでは子どもの不規則な生活習慣の実態が見受けられたことから、市教委は学力向上に向けた補習授業の充実などに加え、生活習慣の改善を呼び掛けていく方針だ。
全国学力テストは2007年度から始まり、全国の小学6年生と中学3年生を対象に毎年4月に実施されている。調査科目は国語と算数(数学)で、それぞれ基礎的な知識や能力を問う「問題A」と知識の活用力を問う「問題B」に分かれて出題される。調査開始以来、都道府県単位で平均正答率など細かな数値を含む調査結果が公表されていたが、今年度からは政令市単位でも公表された。
相模原市の調査結果では概ね全国平均と同水準だった中学生の国語を除き、他の種別で軒並み全国平均を下回った。中でも最も差が開いたのは小学生の算数。「問題A」では正答率が全国平均からマイナス6%、県内の政令市である横浜市、川崎市ともそれぞれ7%差が開いた。
市教委では調査結果から基礎的な知識、能力に課題があると分析。具体的には小中学生共に漢字を正しく書くこと、小学生では小数点の混じった計算を分数で表すことなどが特に間違いが多かった。市教委の担当者は「今回の結果を重く受け止めている。市では、話し合いなどを重視した授業づくりをしてきたが、今後は基礎的な演習にも力を入れていきたい」と話した。
スマホの長時間使用顕著に
同時に行われた生活習慣などに関するアンケート結果では、中学生の回答によりスマートフォンを1日4時間以上使用する割合が全国平均より5・4%高い結果となった。他にも、決まった時間に就寝していない割合なども全国平均より高く、規則正しい生活が身に付いていない子どもの多さを示した。生活習慣と学力について玉川大学大学院教育学研究科の森山賢一教授は「生活習慣と学力に深い関係があることは様々な調査で指摘されている。規則正しい生活リズムが確立されれば、その中で勉強時間の確保が可能となるため、学校と家庭が連携して低学年の頃から習慣を身に付けることが必要」と話す。
市教委では今後、基礎学力向上をめざし、現在各学校の判断で行われている長期休業中などでの補習授業の全校実施の検討や、教員数の増加に向けた協議を重ねていく。加えて生活習慣の改善については、スマートフォンの長時間使用による悪影響を伝える、子ども向けのチラシの制作などを検討していく方針だ。
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