学びの先端って、どこ? 創価女子短大の場合 第3回 APD(聴覚情報処理障害)のこと
このコーナーは、創価女子短期大学(丹木町)で教える青野健作准教授に、学びの現場や自身の体験についてお話ししてもらうコーナーです。
APDをご存知でしょうか?
聴力検査では異常がないのですが、聞き取りが困難な症状のことで、「聴覚情報処理障害」とも言われています。日本で推定240万人が症状を有していると言われていますが、診察できる病院が非常に少なく、根本的な治療法も見い出せていません。
私のゼミではこの問題に注目し、当事者会の方々と何度も意見交換させていただき、聞き取りが困難な状態で非常に苦しんでいる現状を目の当たりにしました。その後、耳鼻科医、補聴器メーカー、行政、大学研究者等に聞き取り調査をしましたが、当事者本人でも気づいていないことが多いことが分かりました。なぜなら、幼少期から「聞こえとはこういうもの」と思って成長し、いざ仕事を行う中で聞き取りが難しいことに気づくことが多いからです。
非常に難しい社会課題に向き合う中で、ゼミ生が心を砕いて行き着いた先は「認知度の低さ」でした。周囲が理解するためには、この問題を普及啓発していくことが第一歩になるのではないかと考えたのです。彼女たちは、大学コンソーシアム八王子の学生発表会(市政提案セッション)で、互いが思い合えるまちづくりのために教育や行政の視点で普及啓発していく提案を行い、最優秀賞に輝くことができました。
ただし現実では普及啓発は大きな課題だと思っています。20年前に「発達障害」の認知度が広がりをみせたように、APDを「障害」とみなすのではなく、インクルーシブ(包摂的)なまちづくりという考え方が求められるのではないでしょうか。これからもこの問題を注視していきたいと思います。 (つづく)
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