神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
寒川版 公開:2015年5月15日 エリアトップへ

自分史『花万華』を刊行した 志波 惠子(しば よしこ)さん 岡田在住 85歳

公開:2015年5月15日

  • X
  • LINE
  • hatena

後世に戦争体験残したい

 ○…「何年か前から自分史を書こうか書くまいか悩んだが、戦後70年という節目で、後世に自分の戦争体験を書き残すことにした」。自分史『花万華』は、壮絶な戦争体験、寒川で教鞭をとった30有余年、退職後の暮らしについて記されている。悲惨な事件が後を絶たない世の中。だからこそ、ためらっていた執筆の後押しにもなったようだが、自身が体験した戦争体験――それは『壮絶』という言葉では語りつくせないほど衝撃的なものだった。

 ○…1944年6月、父親の赴任先の台湾で戦火が激しくなり、一家で日本に帰る途中の引き揚げ船での出来事だった。翌朝には九州到着という夜、船は突然大きな音と振動に見舞われた。米軍の魚雷が直撃したのだ。船は沈没した。それでも、いくつかの幸運が重なり夜明けまで海上で浮遊した。翌朝救助船に助けられたが、母と幼い3人の妹弟を失った。「暗くて何も見えない海上で必死に木片にしがみついていた。深い悲しみに襲われたのは救助された後でした」。13歳の少女が体験した現実は、豪華客船の遭難を描いたあの映画のシーンそのものだった。

 ○…教員を志したのは「私と同じように戦争で親兄弟を亡くした子どもたちの力になりたい」と思ったから。長崎に生まれ、寒川に移り住んだのが19歳のとき。以来、教育現場で子どもたちと全力で向き合ってきた。退職後は寒川町初の女性教育委員としても活躍。「幸せな老後を送れるのも教え子たちのおかげ。亡くなった母たちが守ってくれた恩返しもしないとね」と微笑んだ。

 〇…自分史のタイトル『花万華』は、趣味である染物の花模様のこと。「万華鏡の小さな穴から覗き見るように80余年の歳月に想いを巡らせた」と話し、「一人の女が愛と光を求めて生きてきた生き様の記録が、人の強さと弱さを浮かび上がらせ『華』と見えたら、こんなに嬉しいことはない」と結んでいる。
 

戦後70年 語り継ぐ戦争の記憶

タウンニュースの各発行エリアで企画・編集した関連記事まとめ

http://www.townnews.co.jp/postwar70.html

はしもと修一町政報告会を開催

5月12日(日)寒川町南部公民館で10時半〜正午。ご参加無料

<PR>

寒川版の人物風土記最新6

奈良 英俊さん

3月19日付けで茅ケ崎警察署長に就任した

奈良 英俊さん

茅ヶ崎市在勤 57歳

4月26日

深澤 文武さん

4月1日付けで寒川町副町長に就任した

深澤 文武さん

小谷在住 59歳

4月12日

三善 幸夫さん

能登半島地震の緊急消防援助隊神奈川県大隊の第一次派遣で大隊長を務めた

三善 幸夫さん

横浜市在住 60歳

3月29日

大澤 文雄さん

瑞宝双光章を受章した元寒川町教育委員会教育長

大澤 文雄さん

倉見在住 72歳

3月15日

内村 徹さん

中学生硬式野球チーム「湘南茅ヶ崎ボーイズ」を初の全国大会に導いた

内村 徹さん

寒川町在住 41歳

3月1日

山田 仁子さん

県のなでしこブランドに認定された「PonCha」を手掛ける菱和園の代表取締役

山田 仁子さん

寒川町内在住 52歳

2月16日

あっとほーむデスク

  • 2月18日0:00更新

  • 2月4日0:00更新

  • 1月21日0:00更新

寒川版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月26日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook