茅ヶ崎市内唯一の樹木医で、県立茅ケ崎里山公園に勤務する 佐藤 舞さん 36歳
樹木を守り、守られる
○…樹木医の登録数は全国で約2500人。中でも全体の一割ほどという、数少ない女性樹木医として里山公園の自然の保全に努める。木槌や双眼鏡、レジストグラフと呼ばれる樹木の密度を計測する機器などを駆使し、樹木の健康状態を調査。土の掘り起こしなどの力仕事もこなしながら「落枝や倒木は非常に危険。木を守ることは人を守ることにもつながる」と今日も園内のパトロールに励む。
○…花で冠を作ったり、理科教諭の父から花の名前を教えてもらうなど、幼い頃から自然に慣れ親しんだ。生まれ育った市内浜須賀は防風林のクロマツに寄り添う土地。「クロマツがないと潮風で物がすぐ錆びたり、窓がベタベタになる。日常生活は植物に守られている」と実感したのが樹木医を志した原点。明治大学農学部で緑地学を学んだ後、造園会社や土木会社で修業。県職員となってから、筆記試験や約2週間の研修合宿などの試験を突破し、晴れて樹木医の資格を取得した。県立辻堂海浜公園や県立大磯城山公園などでの勤務を経て、現在は里山公園で2年目を迎える。
○…夫、愛犬とともに暮らす。造園会社勤務時代の上司だった夫については「クロマツみたいに我が家の最前線で頑張ってくれる人」と頬を緩ませる。休日に夫婦で散歩する時も話題は見かけた珍しい木や、マツの形など、つい植物の話に。現在妊娠7カ月。「子どもの名前は花や自然に関するものにしたい」と微笑む。
○…「樹木は人と違い問診に答えられない」。自然と格闘する毎日に「木の声が聞けたらいいのに」と悔しさを滲ませる。それだけに病害虫の防除などの治療で樹木に元気が戻ると喜びもひとしおだ。「力仕事が多いイメージがあり女性が少なかったが、最近は試験の方法が変わるなど、間口も広がってきている。もっと興味を持ってもらい、関心も高まれば」と”クロマツ”への感謝の思いをつないでいく。
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