国の地方創生の取り組みの一つである政府関係機関の地方移転に関して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスの移転の可能性が浮上した問題で、淵野辺駅北口の商店街関係者らが存続に向けて署名活動の実施を決めた。第1弾として11月15日に淵野辺駅で行う。関係者らは各団体にも協力を求め、市全体で移転阻止に全力を挙げる構えだ。
JAXA移転をめぐっては、9月定例会議の本会議で、小野弘市議(自民)が行った一般質問で移転について市の対応を求めた際、加山俊夫市長が今後の対策として「県と共に存続を要望していく」と言及したことから問題が明るみになった。移転先には現在、秋田県、岐阜県が名乗りを上げている。
10月26日に開催された県・横浜市・川崎市・相模原市による四首長懇談会では、JAXAを含む県内所在の政府関係機関移転について議論の場が持たれ、国に対し、現状もたらされている地域への経済波及効果などを十分検討した上での判断を求めていく方針で合意。10月30日には黒岩祐治知事から菅義偉官房長官に要望書が手渡されるなど、県市でJAXA引きとめに向けた動きが活発化している。
移転問題の一報は、宇宙をテーマに街づくりを進めてきた淵野辺駅周辺の商店街「にこにこ星ふちのべ協同組合」の関係者にとっても寝耳に水の出来事だったという。
署名10万人を目標
同商店街は1989年のJAXA移転に伴い、「銀河をかけるまち・ふちのべ」を街づくりの中核に据えて取り組みを強化。2010年の小惑星探査機はやぶさ帰還の際には商機ととらえ、加盟店を挙げていち早く「はやぶさグルメ・グッズ」の制作に着手するなど、淵野辺の活性に向けて次々と方策を打ち出してきた。
当時の街づくりを主導した同協同組合の茅(かや)明夫前理事長は移転の件を受け、JAXA関係者と情報交換する中、JAXAの存続に向けた市民の熱意を国にアピールしていくことが大切だと痛感。これが発端となり、今回、同商店街、小野市議らが中心となって署名活動を通じて市民の意志を訴えていくことを決めた。
JAXAの関係者の中には市内各地の小学校での講演や、生涯学習の場とされるあじさい大学で講師を務めてきた実績のある人もいることから、南区・緑区も巻き込み、市を挙げて署名を集める。市立小中学校PTA連絡協議会や市自治会連合会、市商店連合会など市内の各種団体にも協力を要請していく方針で、11月中をめどに10万人を目標に据える。その後、署名をもとに市議会に陳情し、議会から国に対して、意見書を含め、存続を求める市民の声を力強くアピールしたい考えだ。
茅さんは10月31日の潤水都市さがみはらフェスタステージイベントに参加し、来場者に署名活動について言及。「何としてでも、JAXAの移転を市民の力で阻止したい。ぜひ、皆様のご協力をお願いします」と話すと、会場からは拍手が上がった。
署名活動は11月15日(日)11時から、淵野辺駅で行われる。
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