復興の杭 市内に2本 被災地以外は初 相女大と大野小
東日本大震災で岩手県大船渡市を襲った津波の被害を後世に伝えるための「復興情報杭」が、先月末、市内2カ所に設置された。杭が立てられたのは相模女子大学(南区文京)と市立大野小学校(古淵)の構内。被災地以外での設置は今回が初という。
スマホで閲覧 津波を伝承
この杭はプラスチック製で、メモリ機能を備えている。スマートフォンやタブレット端末を杭にかざすと(要アプリ)、定期的に更新される被災地の様子などを画面で見ることができる。同市にある大船渡津波伝承館が取り組んでいる試みで、復興伝承杭(みらいんや)と呼び、昨年10月から設置を開始している。26日に相模女子大学、28日に大野小学校を、伝承館のスタッフが訪れ、それぞれ杭が設けられた。
大船渡支援
相模女子大学では2012年4月から学生有志による復興支援のボランティア委員会(現在45人)が組織され、これまで6回、相模原市の交流都市である大船渡市を訪問し、炊き出し、ケーキ作り、花の鉢植えなどのボランティア活動を行っている。昨年7月には伝承館の活動をともに行うための「大船渡を津波伝承の地にするプロジェクト」を立ち上げ。そこでこの杭の存在を知り、サポートすることに。杭の原材料となるペットボトルキャップを集め、業者に委託し、杭を製作。構内に設置することとなった。
設置当日は学生や関係者ら約40人が参加=写真右。委員会の大塚香月さんは「いろいろな人に来てもらい大船渡や被災地への関心を持ってもらいたい。市内にも杭の設置が増えたらいいですね」と話していた。
「東北に関わってほしい」
「どうやったら東北の力になれるか」。大野小学校では6年1組の児童32人が、総合学習の授業で「復興支援」をテーマに1年間取り組んできた。
活動の中で、津波伝承館が取り組む「杭プロジェクト」のことを知った。昨年11月、児童らは「自分たちの学校にも立てることができるか」と同館に尋ねた。すると「キャップを最低10キログラム集めてほしい」との回答が。学校では全校児童に呼びかけ、最終的に合計26・6キログラム分のキャップを集めた。
「大船渡のことを自分たちの地域に伝えたい。杭はそんな気持ちが形になったものだと思います」と担当の木谷隆人教諭。2月には同館を招致するイベントを同小で開催した。
設置当日は伝承館のスタッフ、学校長と教諭、そして児童とその保護者ら60人が参加した=外面左写真。杭は正門のそば、体育館の前に。代表して8人の児童がこの活動を通して学んだことを発表。「私たちは東北のこと、地震のことを忘れない」と、復興を願う言葉で締めくくった。「みんなで杭を立てることができ、一つの区切りとしていい式典になりました」と木谷教諭は話していた。
「たくさんの人に東北に関わってほしいと改めて思いました。大野小に伝承杭を立てることができて嬉しいです」。ある児童は日記にそのように綴っていたそう。
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