北里大学病院(南区北里)では8月から、がん患者とその家族を対象にした仕事に関する相談窓口をトータルサポートセンター内に設置している。同院のソーシャルワーカーや看護師に加え、社会保険労務士、ハローワークと連携して患者の相談により専門的に応じることで、仕事と治療の両立をサポートする体制を強化していく。
生涯のうち2人に1人が罹患するという「がん」。県内でも年間4万2千人が新たに診断され、その約3割が働く世代とされている。このうち、勤務者の34%が依頼退職・解雇、自営業者では13%が廃業に追い込まれている実情があるという。「体力的にも、経済的にも治療をしながら働き続けるのは容易ではありません。働くことが可能でかつ意欲のあるがん患者さんが働き続けられるよう、サポートすることが求められています」と同院ソーシャルワーカーの前田景子さんは話す。厚生労働省の「がん対策推進基本計画」に、平成24年度から「働く世代へのがん対策の充実」が重点課題として新たに盛り込まれたことも、今回の相談窓口設置を後押しした。
ハローワーク職員や社労士が月1で来院
今回設置された相談窓口でポイントとなるのが「各専門職との連携」だ。
まず相談には同院のがん看護専門の看護師らが対応する。そこから必要に応じて、仕事に関する専門家へつなぐ仕組みとなっている。
毎月第2金曜日(午後1時〜5時/随時派遣有り)は、社会保険労務士が対応。これは県が実施する「社会保険労務士派遣モデル事業」の一環で、県内では、県立がんセンター(2014年10月)、横浜市立市民病院(15年7月)に次いで3例目。具体的な相談事例としては、「治療のための休職にあたり利用できる保険・手当て等を知りたい」「人事・労務担当者に相談・交渉したいがどのように話したらいいか」などがあげられる。
また毎月第4火曜日(午後1時〜4時30分)は、ハローワーク相模原から就職支援ナビゲーターが来院(8月25日開始)。「仕事復帰に際しどんなスキルが必要か知りたい」「就職活動で企業に病気のことを伝えるべきか迷っている」などの相談に対応する。
治療と仕事の両立へ
同院のがん看護専門看護師の近藤まゆみさんは、「これまで病院はあくまで”治療に関する相談”をする場という認識が多かった。しかし治療と共に必ずついてくるのが経済面の問題。医療者側も”まず治療ありき”から少し意識を広げ、仕事との両立をサポートしていく体制がより重要になってくる」と話している。
相談は、原則予約制の面接となる。問合せは【電話】042・778・8438同院がん相談支援センターへ(平日午前8時30分〜午後5時、第1・3・5土曜の午前8時30分〜午後2時)
さがみはら南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|