寒川東中 記念樹の生命つなげ 台風被害を受けたケヤキをPTA・職員OBらが再生
寒川東中学校の開校記念樹であるケヤキが、今年9月の大型台風の被害を受け倒木した。思い出のケヤキの命をつなごうと、同校の職員・PTAのOBらからなる「みなもと会」が会員から資金を募り、このほど再生させた。
「寒川東中の校歌に『風さやぐ木々の緑によみがえる生命(いのち)をうたう』というフレーズがあります。一度伐採したらこれまでの歴史が消えてしまう。ケヤキに蘇る生命を与えたい」。今回、ケヤキ再生のため奔走した初代校長の東川宏さんはそう話す。
同校のグラウンドに植えられているケヤキは、平成元年の開校当時に「子どもたちがひと休みできる木陰になれば」と教職員や保護者らの共同作業で植えた『開校記念樹』。東川さんによると、植えた当時は子どもの背丈くらいの若木だったそうだ。
台風15号が猛威を振るった9月21日。ケヤキは強風でなぎ倒され、根が地面から浮き上がり、幹が約45度傾いてしまった。後日、この様子を目撃した東川さんが同校の堀米信彦校長に話を聞いたところ、町内各地で同様の被害が出ており「町の予算で寒川東中のケヤキだけを再生することは不可能」という話だったという。
堀米校長は「できれば記念樹を残したかったが、安全面からもそのままにしておくことはできず、一度は伐採することに決めました」と振り返る。しかし、植木の専門家に倒れたケヤキを見てもらったところ、早めに対処すれば再生が可能であることが分かった。そこで「何でも役所に頼るのではなく、自分たちで出来ることはやるべきだ」と、東川さんは初代PTA会長の斉藤恒雄さんに相談。斉藤さんと共に、自身が所属する「みなもと会」のメンバーへ記念樹再生費用の協力を募ったという。
趣旨に賛同し、協力した歴代の教職員やPTA会長、現職の職員らは約50人に上った。その資金を元にケヤキを再生。植木業者によれば、根を安定させるため現在は枝葉を切ったが「春にはまた芽吹くだろう」とのことだ。
東川さんは「5年後、10年後の学生にシンボルとして残していきたかった。平成23年は震災や台風など災害の多かった年。記録として留めるきっかけになれば」と話していた。
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