今年創立100周年を迎えた記念に全面芝生化されたグラウンド。野球部の選手たちが懸命に練習する傍らに、その姿はあった。
藤嶺学園藤沢高校OBで、プロ野球西武で投手として活躍した石井貴氏(43)だ。2007年に現役を引退後、西武の投手コーチを6年務め、今年3月から同校の非常勤コーチに就任した。「恩返しをしたい気持ちはずっとあった」と、石井氏側から学校にその思いを伝え、偶然にも100周年の今年、実現。現在は野球解説者としてテレビやラジオに出演する一方、週1回、コーチとして指導にあたっている。
投手に向けての技術的な指導を主に行うが、野手含め選手とのコミュニケーションは欠かさない。名前を呼び、「出塁率はどのくらい?」など、自ら積極的に声をかける。就任当初は大先輩の指導に緊張していた選手たちも最近は「球種や調整法などについて徐々に質問に来るようになった」と距離が縮まっている。
現役引退後もセミナーなどに参加し、トレーニング方法など常に最新の情報を得ていると言い、「書物で読むよりもプロ20年の経験から得た知恵は大きい。それらを伝えていきたい」。
30年ぶりの甲子園へ
1985年夏に甲子園に出場した藤嶺藤沢。石井氏の兄が他校で指導を受けた木本芳雄氏が当時、野球部の監督を務めていたため、88年に同校へ入学した。2年生の秋に野手から投手に転向。最後の夏大会は2番手投手として迎え、チームは格下とみていた相手に4回戦で敗れた。その悔しさがあるからこそ、「母校は強くあってほしい」という思いは強い。藤嶺で学んだことは「人間関係」。厳しい教諭に先輩、後輩との関係、「辛いことも多かった」と振り返るが、卒業後に進んだ社会人野球やプロの厳しい環境で、その経験は生きたという。
7月11日(土)に開幕する高校野球神奈川大会。藤嶺藤沢は昨年の覇者・東海大相模と同一ブロックだ。両者順調に勝ち上がれば4回戦で顔を合わせることになる。「今の選手たちは素直で頭が良く、伸びしろがある。目標は優勝。もちろんだよ」。母校を30年ぶりの甲子園に導けるか―。思いを背負い、勝負の夏が始まる。
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