進行性の難病、筋ジストロフィーと闘いながら、福祉業界が抱える人材不足の壁に風穴を開けようと奮闘を続ける会社社長がいる。福祉に興味を持つ人と直接触れ合い、仕事の楽しさや面白さを伝えることで、一歩を踏み出してほしいというのが根底の思いだ。「人材発掘へ、あらゆる方面に種をまいておきたい」と業界活性化に意欲を燃やす。
緑区西橋本の自宅兼事務所で(株)スマイル・サミットを運営する島崎賢一代表(46)は、社員4人で福祉業界の求人サイト(mirafuku.com)等を発信している。5歳頃症状が出始め、福祉ホーム入居の28歳当時は電動車いすの生活。2年前、呼吸不全で救急搬送されてからは声も奪われた。今では週に1日だけ鼻マスクでの会話が可能だ。身の回りのことは全て介助の力を借りる。ホーム入居時は障害者自立支援法もなく、自ら近隣の大学や公民館、スーパー等にチラシを持って出向き介助者を募集、大勢の学生が呼びかけに応じてくれた。この動きを他の障害者の生活にも広げたいと35歳の時にNPO法人クライムを設立。小中学校に講演に出かけ、福祉の大切さを伝えたり、相模原市で初めて、知的障害児の放課後支援を行う児童デイサービスセンターを開設する等の成果を上げて今に至る。一方で直面し続けるのが慢性的な人材不足。このままでは福祉が崩壊する、という強い危機感がスマイルの立ち上げにつながった。
「表に出て、直接伝えたい」
まず、学生層に実感をこめて福祉の楽しさを伝える、家事子育てに忙しい主婦層が働ける環境を整える、退職したシニア層に呼びかける。この3点が島崎代表の人材活性化のポイントだ。その一環として今秋、学生の福祉職に対する意識調査や福祉講演会も実施予定だという。「仕事の魅力を直接表に出て伝えていきたい。職業として可能性に満ちた業界であることを伝えたいのです」と意欲を見せる。
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アゴラ春号5月3日 |
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