「行政が発表する数字だけでは分からない市民生活の今が伝わる資料を集め、記録としてまとめ、未来へ残したい」と話すのは、淵野辺本町在住の石井篁さん(84)。郷土文化を研究し、地域の文化向上と発展に努める団体・相模原郷土懇話会で代表を務める。
同会は1954年の市制施行時に、市内で郷土研究の機運が盛り上がったことを受け、同年に発足。会員は当時教職関係者が多く、教育現場を持ちながらも、郷土の歴史・地誌・民族・文芸や史跡の調査研究に積極的に取り組んでいた。結果、同会は市史や市教育史などを編さんし、市立博物館開設時の展示品や資料の収集などにも尽力した。
市民の息吹を伝え郷土の関心高める活動
石井さんは同会の機能として、「まだ埋もれている市の歴史を調査する」、「歴史を見る目から現在を調査記録する」、「市の歴史を市民に周知する」の3つを挙げる。市史が完成し、郷土の歴史研究が進んだ現在においては、「古いことを追いかけるだけじゃなく、現代の生活や市制の動きを捉え、残していく活動が重要」という。今を生きる市民の息吹を記録することは、生活者の今を知ることであり、「現代の相模原が抱える課題をつかむことができる」と考えるからだ。
相模原で生まれ育ち、定年まで市役所に勤務した石井さん。市制の歩みを間近で見てきたからこそ、「まちづくりを行政にすべて委ねるのではなく、市民が積極的に参画することが、相模原を良くするうえで大切」と考えている。
まずはその一歩として、「市民の一人でも多くの人に自分たちが暮らす相模原に関心を持ってもらいたい」と願う。それゆえ、同会の活動を通じて、相模原の歴史や今を発信する活動に力を入れる。2014年には、「資料でたどる市制60年の展示」を市立図書館で開催。市制施行時の写真や1970年の東海大相模高校甲子園優勝パレードなど、数々の貴重な資料を展示し、関心を集めた。毎年夏には市内の戦争体験者を講師に招き、平和を訴える活動も続けている。
今や将来を真剣に考え切り開かれる輝く未来
石井さんは「歳を取ったが、市内の農業や商業の変遷をまとめるなど、まだまだやりたいことがたくさんある」と前を向く。2月には自身が代表を務める「写真で相模原を記録する会」主催で、他の団体とも連携して、過去20年間の調査や研究の成果を伝えるイベントを予定。相模原郷土懇話会60周年記念誌の発行も担っている。
「相模原の今や将来を真剣に考える人が増えれば、きっと輝く未来が切り開かれるはず」。市民が郷土に関心を持つ「きっかけ」づくりに全力を注ぐ。
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