市美術館建設 補給廠一部に立地変更へ 敷地面積と利便性を重視
県北初の公立美術館の建設に向け協議を進める「相模原市美術館基本構想検討委員会」(稲木吉一委員長/女子美術大学教授)はこのほど、美術館の建設予定地の見直しを求める答申をまとめ、市に提出した。答申では、これまで建設を予定していた橋本の美術関連施設「アートラボはしもと」の敷地が手狭であることなどから、相模原駅北口の「在日米軍相模総合補給廠」の一部返還予定地への立地変更に言及している。市は答申を踏まえ、今年度中に、美術館開設に向けた基本構想の策定を始める構えだ。
同委員会ではこれまで、「市のシンボル」として多くの人が利用できる専門美術施設の建設に向け、2011年から7度にわたり、市にふさわしい設備や機能などについて協議を進めてきた。
当初建設が予定されていたのは、もともとマンション販売センターが建っていた緑区大山町の土地(敷地面積約3660平方メートル)で、公益施設の設置を条件に2011年に日本金属工業(株)が市に無償で譲渡していた。同所では2012年から美術館のプレ施設として、周辺の美術大学などと連携しアートイベントや展覧会を行う「アートラボはしもと」を展開。将来的な美術館建設へ向け、運営に必要な知識や経験を蓄積し、美術館建設の足固めにしていく予定だった。
ところが、博物館法に基づき施設の機能や方向性を協議していく中で、同委員会は、現在の予定地では法律の定める敷地面積の条件を満たしていないと判断。建物の延べ面積に加え、駐車スペースやバックヤードなどを含めると「建設地は現在の予定地の倍くらいの広さが望ましい」とした。その上で、駅近で利便性も良い相模総合補給廠の一部返還予定地に建設地を見直すよう市に求めた。一方、美術館建設に向けては、教育施設や企業と協力関係を構築していく上でも、「アートラボはしもと」の事業継続は今後も必要であるとの考えを示した。
これを踏まえ、市は「建設地の見直しを含め、美術館設置に向け協議を進めていく」とし、今年度中に建設に向けた基本構想の策定を始める構え。稲木委員長は、「相模原市にふさわしい規模を備えた施設にするためにも、市は前向きな話し合いを行い、機運を高めて頂きたい」と話している。
コンセプトは独自性と地域性
答申によると、新たな美術館は、国内外の著名な芸術家はもとより相模原ゆかりの作家が残した作品も紹介するなど地域性を重視。作品の常設展示だけでなく、親子で楽しめる「アートプレイングルーム」や、市民の交流の場を目的とした「アートカフェ」などを設けることで、他の美術館には無い独自性の強い施設をめざすという。
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