市東部の直下地震 断水避難者 拡大の恐れ 震災で新見解 「備蓄重視を」
東日本大震災を受け、首都直下型地震の被害想定について国が新たに示した見解に沿って、相模原市はこのほど防災アセスメント調査の結果概要を公表した。首都直下型で想定される地震のうち、市東部を震源とする際の被害想定が最も大きく、とりわけ断水により避難が必要になる人の数が拡大する恐れを指摘している。市は避難所の備蓄を再検証していく考えで、防災計画に盛り込みながら、普段から家庭で水や食料などの備えを行う「自助」の啓発を市民により一層広げていく方針だ。
同調査は、市の防災計画の基礎となるものとして不定期に行われており、最近では、新潟県中越沖地震が発生した2006年に実施して以来となる。今回は東日本大震災を踏まえ、M(マグニチュード)6.9を最大規模とする、これまでの地殻型地震について国が修正して報告したことや、昨年12月に首都直下地震の被害想定モデルを新たに示したことから、市独自に見直しを実施した。
調査によると、被害は、30年以内に70%起こるとされる市東部(旧相模原市域)と西部(津久井地域)での直下地震と、100年以上後に起こる可能性がある相模トラフ沿い(相模湾から千葉県沖に伸びる細長い海底の箇所)の地震を合わせた3パターンで想定。国の報告と照らし合わせ、東・西部直下地震はM6.9から7.1に引き上げて推計した。
この結果、市全体として物的・人的被害は、地域防災計画のこれまでの想定から大きく異なる点はないとし、建物の被害も耐震化が進んでいることを理由に減少を想定した。ただ、避難所への避難者については、今回の調査で住宅被害がなくても断水によって避難所へ避難する人を新たに見込んだことから、前回想定の44,452人から60,757人に増やした。断水で避難を余儀なくされる避難者は、そのうちの40,737人。特に著しいライフライン被害が予想される中央区、南区の避難者が増加すると見込まれる。
断水による避難者数の想定を大幅に増やしたことで、市は、避難所となる施設の飲用水や食料などの備蓄に不足が無いよう、今後さらに検証していく考え。備蓄のあり方や影響についての検証結果は、今回の調査に基づき、今年度中をめどに地域防災計画に盛り込んでいく。市危機管理課の小山崇担当課長は「まずは各家族で水などの備蓄を万全にしてほしい。今後も自助の啓発を一層進めていく。この調査を次への出発点にしたい」と話している。
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