両親に捧げる銅メダル 飛び込み坂井丞(しょう)さん アジア3位
韓国・仁川で1カ月にわたり行われたアジア大会の男子3m板飛び込みで、相模原市出身の坂井丞さん(日本体育大学4年)が3位に入賞し、2度目の出場で初の銅メダルを獲得した。アジア大会の飛び込み競技において、日本人男子のメダル獲得は2大会ぶり。
坂井さんは、相模大野生まれの22歳。麻布大学附属渕野辺高校(現・麻布大附高)を卒業後、日体大に進学し、現在は水泳部のキャプテンを務めている。両親は日体大の飛び込みコーチで、姉と妹も選手というまさに飛び込み界のサラブレッドだ。
今大会のメダル獲得を振り返り坂井さんは、「嬉しいというよりも、何よりほっとした」と率直に答えた。今年は、数カ月にわたって世界各地を転戦する飛び込みのワールドシリーズに参加するなど、3月から連戦続き。練習も細かい調整のみで精一杯という状況が続く中、同大水泳部のキャプテンとしてチームを引っ張る重責も背負っており、「シーズン中は正直しんどかった」と胸の内を明かす。だからこそ、アジア大会3位という結果を残せたことに、嬉しさよりも先に安堵感で一杯になった。
「東京五輪で金メダルを」
支えてくれるコーチや部員への感謝の気持ちを胸に、集大成として挑んだ今大会。「両親にメダルをかけてあげたい」と強い思いで臨んだ。予選は調子を整えながら進めたが、決勝では「失敗する気がしなかった」というほど自信を持って演技を披露。口約通りメダルをかけると、普段は表情に出さない父親の弘靖さんからも「おめでとう」と労いの言葉をもらったという。
次なる舞台は、来年2月の代表選考会。一旦はリオ五輪で引退し、コーチ転身を考えていたが、東京五輪開催が決まり2020年までの続行を決意した。「表彰台の一番高いところをめざしたい」。アジア大会で自信をつけた22歳が、相模原から世界の頂きを狙う。
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アゴラ春号5月3日 |
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