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異論考論─淵野辺駅南口公共施設再整備─ 「滞在型図書館」 交流生む

社会

公開:2018年3月29日

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大和市図書・学び交流課 課長 前嶋 清 さん

 図書館を中心とした公共施設として2016年11月にオープンした文化複合施設「大和市文化創造拠点シリウス」。相模原市や大野北地区の関係者らが淵野辺駅南口の再開発に向けて視察に訪れている施設だ。「図書館日本一」をスローガンに運営してきた同施設は、昨年の一周年イベントで年間来館者数300万人を達成するなどその勢いは目を見張る。「全館図書館」をコンセプトにし、6階まである館内のメインの図書館は4、5階だが、各階に図書が配され、基本的にはどこででも本が読める。前嶋さんは1998年から同館を取り巻く事業に携わり、現在は大和市の図書・学び交流課の課長として、同館を運営する複数の事業者で構成される指定管理者の調整役を担う。今や市内外から多くの利用者が訪れる同館だが、その成り立ちをめぐっては曲折があった。

 事の発端は大和駅前の市街地再開発事業の頃にさかのぼる。相鉄線が地下化したのを受け、土地を市が借り受ける形で始まった事業で、地権者らの協力のもと、当初は商業施設とマンションの複合施設として進行していく予定だった。ところが、リーマンショックなどによる景気後退が影を落とし、事業の進ちょくは停滞した。それでも、市が再開発を誘導してきた責任から、07年に就任した大木哲市長の主導で方針を転換。これまでの商業施設中心ではなく、市民要望が多かったホール建設のほか、生涯学習センター、図書館を合わせた公共施設中心の複合施設建設へと舵を切った。とりわけ、大木市長は図書館の充実に向けた施策に注力していたことから、図書館中心の公共複合施設として事業が進められた。「橋本図書館にはホールもあったので、何度も視察に伺った」と当時を振り返る。計画は進み、13年に実施設計を作成。2年の工期を経て、16年に開館にこぎつけた。

 同館のポイントは大きく分けて2つ。「滞在型」と「交流」だ。同館は座席数が850席で県内でもひと際多い上に、カウンターテーブルも設置。「滞在型図書館としての居場所づくり」をめざし、一人でも気兼ねなく利用できるように館内のレイアウトを工夫した。中には、読書を楽しみに訪れるうちに気の合う仲間ができてサークルに発展したケースもある。もう一つのポイントは、複合施設にしたことによる多方面での交流の活性化だ。例えば、生涯学習センターでの講座を通じて利用者が意気投合したり、内設する子ども広場で親子同士が触れ合うなど様々。「本を読む」という一義的な利用の仕方から開放し、フリースペースなど多様な利用ができるようにしたことから中高生の来館も圧倒的に増加。あらゆる世代の来館者であふれている。「特に蔵書が一気に増えたわけでもない。緩い滞在型の図書館を通じた居場所づくりを実験的に行って、当たったのだと思う」と強調する。

 シリウスの取り組みについては「公共施設の一つの方向性を示せたのでは。将来的にも図書館を中心としたスタイルの複合施設は増えていくのではないか」と示す。その証に、同館には北は北海道、南は沖縄からも視察に訪れている現状がある。「淵野辺駅南口の再開発のような新たな試みを進める上で、私たちの取り組みを参考にしてもらえれば」
 

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