相模原市文化協会が主催したオンラインイベント「Go To 文化芸術支援コンサート」に、「Trombone Quartet 虎徹(こてつ) Kotetsu」として参加。画面の向こうの市民へアンサンブルを届けた。文化芸術が苦境に立たされる中、トロンボーン奏者として多方面で活躍しながら「生の音楽を届けたい」と奮闘する。
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音楽教師の父と、ハープ教室を営む母のもとで育ち、生まれたころから音楽は身近にあった。習い事として強制されたことはなく、「中学生までは譜面もリズムも読めなかった」と苦笑する。
高校受験を控えた夏に、県立相模原高校がコンクールで金賞を取った演奏を聴いたことをきっかけに、同校へ進学し吹奏楽部へ入部。トロンボーンを選んだ理由は、「女性が多い部内で男性の先輩が居たから」。楽しい学校生活を送っていたが、将来の展望を語る同級生らに押されて、生まれて初めて将来を考えるように。両親に相談すると「好きなことをやってみたら」と一言。「好きなこと」を考えると「音楽」が頭に浮かんだ。思い切りのいい性格から、すぐに音大進学を決意。空き時間を全て練習に注ぎ、現役で昭和音楽大学に進学した。
大学では音楽の造詣を深めるため、練習や研究に没頭。「音楽を通して仲間が増えた」と笑顔で振り返る。卒業を機に仲のいいトロンボーン奏者の竹内優彦さん、飯田智彦さん、太田涼平さんと「Trombone Quartet 虎徹 Kotetsu」を結成した。「年齢や出身も違う4人だが、不思議と音を奏でるといい音が鳴った」。ユニット名は日本の名刀に由来。「日本の名前を冠することで気合を入れた」と笑う。
音楽への思いが変わったのは、2013年に被災地でボランティア活動を行ったときのこと。音楽仲間に福島県郡山市で行われる子どもたちへ向けた演奏会に誘われた。「音楽に何ができるんだろう」という思いもあったが演奏会が始まると、心から喜んでくれた子どもたちの姿を見て、目頭が熱くなった。「職業として『音楽』をやってきたけれど、金銭を得る手段でなく、人に元気を与えられるものなんだ」と改めて実感した。
大勢の人へ音楽を
新型コロナの流行により、音楽業界自体が煽りを受け、参加するはずだったライブも中止に。予定していた仕事がなくなることも多かった。
リモートにも挑戦したが、やはり音を重ねて響かせるアンサンブルの魅力が制限される。「人とのつながりが絶たれた」ような気になり、落ち込むこともあったが、「生で聴いてもらう」という魅力に改めて気付かされた。「今そこで生きている人が、そこで奏でる音は何にも代え難いもの」と前を向く。いまだコロナは終息が見えないが、大勢の人に音楽の魅力を伝える場を増やしたいと願っている。母校でのレッスンや、町中での演奏など希望は膨らむ。根底にあるのは「人々に音楽を通して元気を届けたい」という思いだ。
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アゴラ春号5月3日 |
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