伊勢原市が進めている市役所駐車場の有料化について、高山松太郎市長は12月15日、計画を先送りし、当面は現行のまま無料を維持していく方針を示した。12月定例会で小林京子議員(共産)の一般質問に答えたもの。市長が議場で先送りを明言したのは初めて。有料化をめぐっては市議や市民からの反発も強く、そうした声に押される格好となった。
有料化は、伊勢原協同病院の移転に伴う市役所駐車場の不正利用への対策や、駐車場の貸付収入による財政再建などが目的。駐車場管理を民間業者に委託し、貸付賃料が市に入るというもので、第5次総合計画の中期戦略事業プランの一つになっている。
市では、今年9月の有料化を目指して、市議会の各会派に計画を説明、理解を求めてきた。市が提案したのは「市役所利用者は無料・他施設の利用者は初回30分無料、以降1時間につき200円」だった。
しかし、議員からは有料化そのものを反対する声や、免除拡大を求める声が続出。定例会でも複数の議員が有料化をただし、議場やネット中継で一般質問を見た市民からも反対の声が寄せられた。
提案の見直しを迫られた市は今年10月、他施設利用の無料時間延長について再検討。山口芳夫総務部担当部長によると「1時間無料までは何とか可能としても、それ以上の延長は無理との結論に至った」という。
1時間以上の無料時間延長は民間業者の採算に合わない。一方、市の直営で駐車場を管理すれば料金の緩和は可能だが、財政を圧迫する。この状況にくわえ、8月の新病院開院から市役所駐車場の混雑が想定よりも少ないことから高山市長は11月中旬、有料化先送りを決定。同20日、議員に方針を説明した。
市は今後、駐車場の監視を強化して目的外利用者の排除に力を入れるほか、場内整備による駐車スペースの拡大も検討していく。山口部長は「有料化の方針自体に変更はありません。今後も検討を重ねていきます」と話している。
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