今月10日から両国国技館(東京都墨田区)で行われている大相撲1月場所。中央区出身の森田世宝(せほう)さん(18)が先場所の新弟子検査を経て角界入りしを果たし、「実富士」として奮闘している。(1月11日起稿)
小学5年生から柔道一筋だった森田さん。立花学園高校(松田町)でも柔道部に所属し、2年時にはレギュラーをつかんで関東大会出場を果たすなど、主力として活躍してきた。同部の中島慎二監督が「受けが強い」と評すように、足腰の粘りが持ち味だ。
「体幹がしっかりしていて、身体が柔らかい」。2年時の秋、縁あって稽古見学に来ていた伊勢ヶ濱親方の目に留まり「相撲、やってみないか」と声が掛かった。より身体の大きな部員もいる中で「驚いたけれど、うれしかった」と振り返る。しかし、相撲は全くの未経験。初めて部屋を訪れた時も、ただ圧倒されるだけで、そこに飛び込む勇気も覚悟も持てなかったという。
高校最終年はコロナ禍で柔道の大会も軒並み中止で、不完全燃焼な思いと迷いを抱えた夏だった。管理栄養士、警察官…、おぼろげながらめざしている夢もあった。学業に励むか、大学で柔道を続けるか、相撲への転向か―。再度部屋へ出向き、初めてまわしをつけた時も、気持ちは揺れ続けていた。
悩み抜くこと1カ月、自ら一つの答えを出した。「スカウトされた理由はきっとある。まずは大学と同じ4年間思いきりやってみよう」。偽らざる思いを親方へ伝えると「厳しい世界で、芽が出るかはわからない。だが自分次第で道を拓くこともできる」と受け入れてくれたという。
母子家庭5人きょうだいの長男である自身にとって、実力が全ての世界に広がる無限の可能性も魅力に映った。「親の大変な姿も見てきたから、楽をさせて恩返しができるかも」。そう語る目はじんわり潤む。
敗北を力に「実」へ一歩
番付を決める前相撲は四番とって全敗。柔道で鍛えた100kgの身体は簡単に土俵下へと転げ落とされた。角界における自分の現在地を突き付けられ、部屋に戻ると悔しさと恥ずかしさで大泣きした。だが兄弟子、親方からの「負けて悔しいと思えるのが第一歩」という言葉に、前を向いた森田さん。最後の取り組みでは「まずは当たろう」と立ち合いから踏み込み、少しの手ごたえもつかんだ。
親方からは「実践・誠実・奉仕」という同校の校訓から一字をとった『実富士』の四股名をもらった。「柔道でも徐々に技を身に付けてきた。まわしをしっかり取って技を出せるような力士になりたい」。1月場所は西序ノ口二十八枚目、下から数えて2番目が相撲道のスタートライン。初日の取り組みは黒星。志を実らせるための挑戦は始まったばかりだ。
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