相模原市発達障害支援センターと相模女子大学が連携して取り組む研究開発事業「インクルーシブ・プログラム」の成果報告会が2月12日、同大学で行われ、オンラインで配信された。
今年度から始まった同事業は、発達障害や知的障害のある若者(以下、勤労青年)が学校を卒業した後も生涯を通じて学び、余暇を楽しむことができる環境の整備をめざしている。プログラム開発では障害の有無に関わらず参加可能な学びの場として、講義が中心となる「セミナー」、グループワーク主体の「ゼミ」、現地調査を行う「リサーチ」の3つの取り組みを行い、それぞれ勤労青年と同大学に通う学生が実践した。
報告会ではまず、市民にも間口を広げた「セミナー」について、開催した4回全てに定員を超える応募があったと説明。勤労青年からは「交流が苦手でも参加しやすかった」と感想があった一方で、オンライン開催のためアクセスの難しさが課題として上げられた。同センターの小林太郎さんは「障害がある人の生涯学習の必要性を地域に周知していくとともに、持続可能な事業にしていきたい」と展望を語った。
自己理解をテーマに行われた「セミナー」では、勤労青年と大学生の悩み相談会を実施。「人に助けを求める力をつける」ことを目的に、勤労青年が職場での悩みを告白した事例が紹介された。悩みを聞いた学生は「年の近い社会人から仕事の話を聞ける貴重な機会だった」と話すと、勤労青年は「社会人になって同世代と話す機会が減ったので、聞いてもらえて前向きになれた」と笑顔で振り返った。
加えて、「リサーチ」に参加した勤労青年と大学生8人が登壇し自ら実績を報告した。「障害のある人が学びたくなる大学ってどんな大学?」をテーマに、神戸大学やNPOなどへの視察を踏まえて議論した理想の大学像を発表。障害の有無に関わらず支え合える関係であり、上下関係のない公平な環境を実現した「『ともに』学ぶ大学」の必要性を訴えるとともに、「当たり前に大学で一緒に活動できるようにしたい」と呼びかけた。
勤労青年は「大学とは無縁と思っていたけれど相模女子大学が第3の居場所になった」と感想を述べ、「障害者が大学に行ける環境にするため、プログラムを広めていきたい」と抱負を語った。大学生からも「一人の人間として勤労青年と関わり仲間になれてうれしい」「多くの人がプログラムに参加してさらなる進歩をしてほしい」と、今後の研究開発事業に期待する声が聞かれた。
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