9月21日は「世界アルツハイマーデー」。本紙ではこの機に当たり、今年で開設10年を迎えた相模原市認知症疾患医療センターの大石智センター長にインタビューを行った。
相模原市認知症疾患医療センター(以下センター)は相模原市の委託を受け2012年4月、北里大学東病院内(現在は北里大学病院内)に設置された。専門の医療相談や鑑別診断に基づく初期対応、医療・介護関係者に対する研修会の開催などを行っている。
大石氏は開設当初からセンターに関わり、19年2月1日から3代目のセンター長に就任。センターでは、認知症のある人でも安心して暮らせる社会を作るためにはどうすれば良いかについて積極的に取り組んでいる。
「認知症については普及啓発が進んだ反面、物忘れや怒りっぽくなるなどの行動変化=認知症と誤解されやすくもなっている。実際、認知症を心配し相談に来る人の中には服用する薬や潜んでいる病気が原因で行動変化が起きている場合がある。センターでは、認知症と誤解されやすい薬の影響や治る可能性のある身体および精神疾患を見落とさないように注意を払っている」
「また地域包括支援センターや訪問看護師、介護従事者などの支援者にも認知症について適切な理解を深め、認知症に見えるが、実はそうではない症状を見落とさないよう、相模原市が運営する研修事業で人材育成に協力している」
「この10年で認知症のある人がメディアを通して自身のことを語れるようになったことは望ましい変化。神奈川県でも『かながわオレンジ大使』を創設するなど本人が発信することで、認知症のある人の思いを想像できる人が増えている」
「一方で普及啓発が進んだ副産物として、過剰に心配する人も増えている。それは認知症に対する根深いスティグマ(他者や社会集団によって個人に押し付けられたネガティブなレッテル、決めつけ)が原因」
「認知症の原因疾患を予防する確実な方法はなく、誰もが認知症になりうる。認知症があってもイキイキと暮らしている人は大勢いるので、恐れず、むしろ身体的健康、例えば歩く力や咀嚼する力など身体の機能が落ちないように維持することの方が大切。また認知症があっても家で安心して暮らせるために利用できる介護サービスはたくさんあるのでためらわず積極的に利用してほしい」
「社会を構成するあらゆる人が、認知症のある人の体験に耳を傾け、理解を深め、思いを想像できることが大事。金融や交通、行政、病院などの社会インフラはまだまだ認知症のある人には使いづらい。官民含めて認知症のある人でも安心して使えるサービスについて考えてほしい。若くして発症する人もいるので認知症になっても働ける企業がもっとあってもいいと思う」
オンライン研修会開催
センターでは9月17日(土)、大石氏が講師となりオンライン研修会を開催する。午後4時30分から6時10分。テーマは「認知症のある人が暮らしやすい街になるために求められる知識・言葉・意識化したい理念」。対象は認知症のある人とその家族、支援者。先着200人。申込みは氏名、連絡先、質問事項を明記し、メール【メール】dementia@kitasato-u.ac.jpまで。
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