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児相・所持品検査問題 再発防止へ市が報告書 情報共有徹底し、組織強化

社会

公開:2016年3月24日

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 昨年、市児童相談所一時保護所(以下、一時保護所)が保護少女に対し不適切な所持品検査を行った問題で、有識者の意見を参考にしながら検証を重ねてきた市は、発生原因や再発防止策をまとめた検証報告書を15日に発表した。その中で、問題が生じた際の対応マニュアルが組織内で十分に整備されていなかったことが主な原因として挙げられていることから、市は今後、マニュアルの徹底による対応力強化に重点を置き、再発を防ぐ考えだ。

 この問題は2015年夏頃、虐待などの理由で緊急的に子どもを保護する一時保護所内で、児童からの要望を受け付ける意見箱の記入用紙1枚が紛失したことが発端。一時保護所では子どもが用紙を利用し氏名や電話番号などを交換することによって、子どもらの個人情報が流出するのを恐れ、紛失した用紙を捜索したが発見できなかった。過去には子どもが下着の中に用紙を隠し持つケースもあったことから、職員らは協議し、本人の同意を得た上で、少女9人に対して女性職員が衣服を脱がせ所持品検査を実施。その後、別の職員が検査を受けた少女が衣服の着脱に不快な思いをしたことを聞き取ったことから、問題が発覚した。

 児童相談所では、検査方法が子どもの人権を侵害する不適切な対応だったと判断し市へ報告。その後、市では検査を受けた少女へ謝罪をするとともに、一時保護所の職員約50人に対して当時の状況について調査を行い、学識経験者や弁護士の意見を参考にしながら原因や再発防止策をまとめた報告書を作成した。

 報告書では、所持品検査の具体的な手法が組織内で統一されずに、その都度職員の経験や知識に頼って実施されていたことが主な原因とした。加えて、開所以降、虐待など様々な背景を持つ子どもの入所が続き、複雑な問題の対応に追われる中、こうした子どもへの対応経験が足りない職員間では、子どもに向き合うことより、所内での問題発生を懸念し管理意識が強くなっていたことも問題点として指摘している。

「専門家としての配慮必要」

 再発防止に向けて児童相談所では、衣服を脱がせて行う所持品検査を原則実施しないと定めた。想定外の事態に対して職員個人の判断に頼ることなく組織として対応できるよう、行動マニュアルを見直し、所内会議を通じた情報共有の徹底に取り組んでいく。他にも、経験の浅い職員の能力向上を促すために、他市の一時保護所との人事交流を検討し、相談役として外部専門家を配置することなども実施していく予定だ。

 社会福祉学が専門で、市の子どもの権利条例の策定にも携わった桜美林大学・大溝茂教授は報告書について「事案についてよく検証がされている」と評価。その上で、「職員には子どもの問題に係る専門職として人権への配慮が求められる。今回の問題は、子どもとの信頼関係の中で解決が図れればよかったが、結果として人権への配慮に欠けた対応だった」と問題を分析した。大溝氏は加えて、再発防止策として他施設との連携の可能性について言及。「同じ政令市である横浜市には複数の児童相談所があるが、相模原市は1カ所。適切な一時保護を実施していくには他施設と連携し、一時保護を委託できる仕組み作りが出来れば」と話した。

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