神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS

学生主体で空き家を再生

コミュニティ社会

公開:2023年1月26日

  • X
  • LINE
  • hatena
空き家ポーズをする学生たち。前列左から2番目が有山さん=1月14日、南区西大沼
空き家ポーズをする学生たち。前列左から2番目が有山さん=1月14日、南区西大沼

大学などで日ごろ学んでいることを実践する場として、市内にある空き家を自分たちの手で改修して再生し、同時に若者や住民の交流の場として地域活性化につなげていこうというプロジェクトに、相模原市とゆかりのある、「経験ゼロ、資金ゼロ」の学生たちが取り組んでいる。

学びの実践と地域貢献

 事業の実施主体は緑区橋本を拠点に活動しているサッカークラブ「Saltista橋本FC」。地元出身の選手らが「若者が飛躍できる環境づくり」などを掲げて創設したチームで、メンバーの多くは現役の大学生だ。今回の取り組みは、同クラブの副代表で早稲田大学3年の有山蒔恩さん(21)=緑区橋本台出身=が「コロナ禍の影響により活動を制限されてきた学生たちに、学びを実践できる場をつくりたい」とクラブ事業の1つとして立ち上げた。

 空き家に着目したのは、少子化や人口減などにより全国的に増加が問題になっており、そうした課題の解決が事業目的の1つである「地域貢献」につながる点や、改修を通じて物理的な空間をつくることが学生にとって取り組みやすいと考えたことから。学生は現場での実践により経験を積むことができ、物件所有者は改修費用などを抑えられるというねらいもある。最終的には空き家をコワーキングスペース(異なる仕事を持つ人たちが共同で働く空間)としてリノベーションし運用するのが目標だ。

南区西大沼で

 実施にあたりメディアなどで周知を働きかけると、取り組みに賛同した空き家の所有者から昨年秋頃、南区西大沼にある古民家を提供するという申し出があった。これを受け有山さんは同クラブ関係者で、大学で建築を学ぶ田中優大さん(東海大3年)に声をかけ設計を依頼。「学んだことをアウトプットする場がなく良い機会だと思った」と田中さんも快諾した。

 一方、大学で学んでいるとはいえ、構造面や安全などに不安はあった。そこで地元事業者に相談を持ちかけたところ、紹介で輪が広がり、6社ほどの建築関連企業が支援してくれることに。学生は自分らが立てた仮説や設計案などについてプロに助言をもらえ、田中さんは「誰がどう使うかという実用性を考えて設計したが、勉強したことをいざ実践するのは難しいと感じた。いろいろな人に話を聞き、大学で学べない現場の感覚を得ることができている」と実地に手ごたえをつかんでいる様子。有山さんは「地域の温かさを感じている」と感謝を口にする。

 立案当初は有山さん、田中さん、そしてマーケティングなどを担当する大林広奈さん(東京エアトラベル・ホテル専門学校3年)の3人だったメンバーも、建築や企画、マーケティング、SNS運用、経営、中には「何かに挑戦したい」という学生など知人を介したりインターネットで呼びかけたりしてスタート時には10人に。地域活性や地方創生、ものづくりに意欲的な学生たちで、ほぼ全員が市内出身や在住、もしくは何らかの形で市に関わりがあるという。

廃材利用しSDGs 

 設計の全体像を固め、11月末に現場作業を開始。柱や梁など基礎となる部分は残して内壁や天井などを取り壊し、畳をはがし、廃材を使って看板をつくった。木材や構造材、タイル、クロスなどは協力事業者から使わなくなった資材の提供を受けており、余った材料を活用することでSDGsを意識し、費用も抑えられているという。

31日までクラファン

 一方、コワーキングスペースとしての質や満足度を担保するため、材料費など一定の費用は必要となる。それを捻出するため現在、クラウドファンディング(クラファン)を実施しており、公民館や自治会への働きかけ、地域へのポスティングなど広報活動に奔走する。クラファンも担当している大林さんは、「資金を募るだけではなく、私たちの活動をより多くの方に知ってもらう目的もある。サイトを見て少しでも興味を持ってもらえたら」と呼びかけるとともに、「チームとして何かを達成するという1つの形がつくれたら」とねらいを語る。

 スペースの完成目標は4月。「地域や学生が交流できるような空間に」という観点から、運用開始後はワークショップやイベントの開催なども見すえる。作業する仲間も増え、現在は約20人で毎週土曜日の午前10時から午後4時まで活動中。地域の人と一緒に作業する交流日や、学生限定日などのイベントもあるという。有山さんは、「今、自己肯定感が低い若者が多い。事業を通じて、若者が安心してチャレンジできる、夢に向かって頑張れる環境がもっと増えれば」と期待を込める。

 クラファンは1月31日(火)までサイト「For Good」(https://rescuex.jp/project/36482)で実施中。詳細は有山さん【携帯電話】080・5035・5256。

㊧解体前の民家と㊨コワーキングスペースのイメージ画像=提供
㊧解体前の民家と㊨コワーキングスペースのイメージ画像=提供

さがみはら中央区版のローカルニュース最新6

市内企業が被災地支援

能登半島地震

市内企業が被災地支援

医療用マスクなど提供

4月28日

BBQ、今年も

BBQ、今年も

大野北誠心園

4月27日

「念願」給食室が完成

「田名にもう一度鯉のぼりを」

「田名にもう一度鯉のぼりを」

有志がGWにイベント

4月25日

変わりゆく花火大会

供用10年

田名バスタ

供用10年

4月25日

相模原市のご葬儀

ニーズに応じた家族葬プランをご用意

https://ceremonyhouse.jp

<PR>

あっとほーむデスク

  • 4月6日0:00更新

  • 3月30日0:00更新

  • 3月23日0:00更新

さがみはら中央区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月28日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook