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異論考論─淵野辺駅南口公共施設再整備─ 自然と共生し価値創造

社会

公開:2018年3月22日

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雑誌「ランドスケープデザイン」編集・発行人丸茂 喬 さん

 場の在り方を含めた景観を考える事がランドスケープ。その概念を生かし、計画しデザインする仕事がランドスケープアーキテクチャー。わかりやすく言えば「家」と「庭」は一体で設計するものだ。今回の再開発についても、町、公園、道路などを全体でとらえ、景観として価値を見出していく必要性を訴える。

 景観価値の点では、米国・ニューヨーク市にある都市公園・セントラルパークを好例に、「緑地を増やすことで不動産価値が上がるというのが世界的な見方」とした上で、一大金融都市となったシンガポールも大規模な緑地を生かした都市づくり「シティ・イン・ア・ガーデン」により魅力的な街へと変貌を遂げ、「都市全体が庭となったところが魅力」と分析。加えて、防災訓練などの場や災害時の避難場所にもなることから、公園を地域コミュニティの核と位置付ける。「鹿沼公園は起伏があり、池がある。まさにコンパクトな自然。絶対に守らなければならない」とする一方で、屋上緑化については建物の寿命と共に終わってしまうことから反対の立場だ。「地べたの木ならずっと生き続ける。それは財産だ」

 さらには、「歴史の価値、人の価値、地形の価値」がその町の「らしさ」につながり、その土地と自分とのつながりが歴史、物語につながっていくものと考える。計画案に含まれる鹿沼公園内の交通公園一つとっても、利用した思い出と自分の人生とのつながりなど、場所がもたらす価値に着目。「それを残さないと記憶喪失の町になる」と表現する。

 過去、様々な開発を取材する中で、公園内に複合施設を入れるケースは少なく、緑地的な価値の中に不動産価値を見出すことに危惧を示す。代替案としては淵野辺駅自体を再開発する方向性を挙げる。一方で、市立図書館については現存を維持しつつ、鹿沼公園と一体でリノベーションする手法を提唱。書庫としての役割だけでなく、セミナールームや憩いの場の充実など多機能型での利用にも言及。民間事業者によるノウハウを生かすため、指定管理制度の上手な活用を提案する。

 鹿沼公園と周囲との境界については「密閉された印象」を持つため、木は切らず、剪定によって奥行きが見える景観づくりに可能性を見出す。加えて住民同士で植栽するなど「(住民にとっての)緑を守る憩いの場」としての利用を求める。「現状の公園の暗さは、多様な植栽と景観間伐で手入れし周囲の街の緑化を進め、公園に溶け込む景観づくりをすればもっと良くなる」と強調する。

 公園内の野球場については時間指定のプログラムを作成し「時間割」での使用を提言。「なくす、残す」といった二者択一での議論に疑問を呈す。

 SDGs(持続可能な開発目標)が先進都市の国際基準となる中、これからの街づくりとして、性急な開発は時代の流れに逆行すると警鐘を鳴らす。住民を巻き込み、柔軟な発想、展開を可能とする新しい仕組みづくりを構築し、公民連携の街づくりに期待を寄せる。「学校や企業など幅広い層の人々が淵野辺の魅力に引き寄せられ、地元と連携して景観と緑が価値を生む新しいコミュニティを考える事が大事だ」と今後を展望する。

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