小出小学校(芹沢)の敷地内には1体の地蔵が設置されている。「みどり地蔵」の名で親しまれ、90年近く子どもたちを見守ってきた。
地蔵は石造で、像高約150センチメートル。現在は風化してしまっているが、右手に錫杖、左手に宝珠を持ち袈裟を着けた姿だった。
同校の130周年記念誌によると、地蔵が設置されたのは昭和10(1935)年。小出村慈教会という団体が延命地蔵尊1体を寄贈し、当時の横浜商法会議所の会報紙「横浜貿易新報」にも記事が掲載されている。
寄贈の背景には、戦争に向かう時代で地域の結束を強める狙いがあったと見られる。また同校が開校した明治37(1904)年以降に疫病や事故で58人の児童が亡くなっており、冥福を祈る意味も込められていたとされる。実際、亡くなった児童の名前を記した芳名板が地蔵と一緒に設置されたという。「児童の看護(みとり)」「伸びる緑の芽」「(校歌)緑の二本松」という3つの「みどり」から「みどり地蔵」と名付けられ、同校のシンボルとして愛されてきた。昭和57(1982)年の新校舎完成に伴い移設され、現在はグラウンドへ降りる中央階段の東側に置かれている。
歴史紡いだ「地域性」
茅ヶ崎市史編さん委員を務め、地域の地蔵や仏像を研究する中島淳一さん=人物風土記で紹介=によると、小学校内に地蔵が設置されているケースは、神奈川県内にはほとんどないという。
中島さんは「ここまで大事にされてきたのは結束が強い小出地区の地域性が大きいのでは。ぜひ次代につなげてほしい」と訴える。
同校では創立150周年事業として地蔵の紹介プレートを設置する予定。丸山修一校長は「これからも児童の健やかな成長を見守ってほしい。地域の方にも見学してもらえる機会を設けられたら」と話している。
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