高校球児たちの熱い夏が始まる―。今年は7月11日(土)に開幕する、強豪ひしめく神奈川県予選。その難関を突破し、春夏合わせて4回甲子園出場に導いた闘将がいる。名門・慶応高校野球部監督を25年にわたって務めた上田誠さん(57)=茅ヶ崎市出身=、その人だ。今夏をもって監督を勇退する上田さんに思いを聞いた。
指導への意欲には燃えているが、若い監督の下で部員に育ってもらいたいという思いを優先し、勇退を決めた。後任は、約20年共に指導してきた自身の教え子が務める。「今後は新監督なりの味付けに期待する」と穏やかな口調で語る。「退任後も副部長として育成に携わります。部を離れるわけじゃないので、あまり引き留められなかった」と苦笑い。
これまで春夏合わせて4度、甲子園出場に導いた。真面目に取り組みながら、野球を楽しむ”エンジョイ・ベースボール”という方針を貫いてきた。泥だらけになって泣いたり笑ったりすることが「高校野球の醍醐味」と熱い。監督の楽しさは卒業生と接するときに感じる。一緒に練習に励んだ教え子が「プロ野球選手だけでなく、様々な進路で活躍している姿を見ると嬉しい」と目尻を下げる。
二足のわらじで可能性を追求
6歳で野球を始め、湘南高校時代はピッチャーとして県ベスト16の成績を残した。大学卒業後、見聞を広めるために世界を旅した後、周囲の勧めもあり教職に。桐蔭学園や厚木東高校での指導を歴任し、1990年から慶応高校に英語教師として着任、監督業との二足のわらじを履いてきた。
教師としても、生徒一人ひとりに親身になって向き合うことを心がけている。「早起きは苦手と」話しながらも、早朝練習に付き合うこともしばしば。プライベートな時間も部員のことを考えてしまうほど打ち込んできた。二人の息子は野球以外の道に進んでいったが、父親として、それぞれの道を応援している。
慶応高校の初戦は7月15日(水)。「夏の予選に全力を向ける」と、5度目の甲子園出場を目指す。また野球を通した地域貢献にも意欲的。自身が始めた、地元野球チームと同部が交流をする少年野球教室を15年間開催していたことも。双方にいい刺激を与えたと語る。「今後も野球を通して子どもたちの可能性を追求していきたい」と目を輝かせた。
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