茅ヶ崎市では生物多様性を保全する取り組みを行っている。景観みどり課が10月17日、市内で絶滅が危惧される植物「ヤマイ」を柳島スポーツ公園に移植した。約30年ぶりとなったヤマイの発見から保全までを取材した。
茅ヶ崎市は、市内に生息する動植物を調査し保全活動などに生かす自然環境評価調査を実施している。調査では「茅ヶ崎らしい代表種」として独自に選定した指標種約120種の生息状態などの調査結果を基に、茅ヶ崎市版レッドリストの編集も行ってきた。
今回移植された「ヤマイ」は、カヤツリグサ科テンツキ属の多年草植物。草丈は10センチ程度で、形状は芝と似ている。夏から秋にかけ細い花径の先端に小さな穂をつける。やや湿った草地に生息し、全国的には珍しくない植物だという。
市内では1980年代頃の記録を最後に確認されておらず、レッドリストにも絶滅種として登録されていたヤマイ。しかし、2015年8月に浜見平地区で行った任意調査の際にボランティアの調査員が団地側の緑地で発見した。
保護および保全が検討されたが、浜見平地区の開発にヤマイの生息地が含まれていたため、同課は15年8月にUR都市機構を通じ、柳島スポーツ公園の市管理地への移植を相談。工事の進展に合わせ、16年11月28日に柳島記念館へ移植された後、17年10月に正式に柳島スポーツ公園へ移植されることになった。
10月17日、雨の降る中掘り起こされたヤマイは、浜見平地区を代表する植物であるハマヒルガオの株と合わせてトラック1台分が移植された。移植地は、陸上競技場周辺の芝の一部。ヤマイの生態などを記載した看板も設置された。
ヤマイは今年度中に完成予定の茅ヶ崎市版レッドリストで、絶滅種から絶滅危惧種の変更が検討されている。同課は「ごくありふれた植物でも、生物多様性の保全には欠かせないもの。今後も地域にいる生物を大切にしたい」と話した。
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