市は「社会福祉法人翔の会」と協定を締結し、7月から県内初の生活困窮者の就労ステップアップ事業を開始した。さまざまな支援制度が整い、全体の困窮者数は減少している一方、仕組みの”狭間”にいる人には光が当たりにくい。現状と、そこに光を当てる取り組みについて取材した。
6月28日の時点で茅ヶ崎市内には1771世帯、2362人の生活保護制度の利用者がいる。市生活支援課では、専門の相談員を配置し就労支援に取り組んでいるが、昨年度は新規相談者が約190人いたのに対し、以前からの相談者を含めても、就労達成は約40件に留まった。
就労するも継続に至らなかった人、年齢や病気などで就労に積極的になれない人、そもそも「これまで働いたことがない」「働く意欲がない」人も少なくない。翔の会によると、学生時代から、あるいは就職後に病気や怪我、親族の介護などで離職し、社会との関係が絶たれ、親の死去などを機に問題が表面化するケースの相談が近年増えているという。しかし、このような”狭間の人”に対し、有効な手立てはこれまでなかった。
同課は「選ばなければ働ける時代。極端に言えば、お金ですぐ解決する問題もある。しかし、なぜ困窮者になったか、その根本に至らなければ結局元通り」と説明する。
今回の新事業は「職場体験」だ。障害者支援にも取り組んできた翔の会は言う。「”狭間の人”の支援は、障害をお持ちの方の支援を活かせる部分がある」。一般的な就職は、仕事に合わせ自分を変えていくのに対し、障害者の場合は、その人の特性に合わせて仕事を選ぶ。今回の新事業も、同会のジョブコーチがサポートし、その後の自立に向けた支援にも体験結果を活用する予定だ。
「ありがとう」がもたらす希望
市と体験者、翔の会の第1回目の相談会が7月9日、実施された。市は体験者の様子について「本番を前に、見学を通した簡単な交流自体も新鮮な経験と捉えてもらえたようだ」と手ごたえを見せる。翔の会は「施設では『ありがとう』という言葉が頻繁にやりとりされる。感謝されることが、社会との交流が絶たれている人の小さな光となってくれれば」と期待を寄せた。
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