2017年の年頭を飾る企画として、本紙では加山俊夫市長に対し、新春インタビューを行った。加山俊夫市長は相模原市の未来に対する構想や考え方、厳しい財政状況下での2017年度予算などについて率直に語った。(聞き手/本紙さがみはら中央区編集長・船山福憲)
――早速ですが、昨年(2016年)を振り返っての感想をお聞かせ下さい。
あっという間に過ぎた1年でしたが、嬉しい話、残念な話など色々ありました。これまでと同様、市民の皆様の安心で安全な暮らしを実現するための施策に取り組んできました。
子育て環境では、県内の政令市では初めて、保育所への待機児童「0」を2年連続達成出来たことは良かったと思っています。ただ、内容を精査しますと、希望と合わなかったり、様々な事情により入所が保留となっている方もいますので、全ての方のニーズに対応できる受け入れ体制づくりを積極的に行っていきたいと思います。児童クラブは、共働き世帯のニーズに対応するため、大幅な定員拡大(2016年度に450人を拡大)を行い、早期の待機児童解消に取り組んできました。
防災関係では、東日本大震災の教訓を受けまして、市民の安全確保のため、様々な対策を進めています。4月には防災備蓄物資の充実と、相模原市が被災した際の生活必需品などの救援物資を効率的に受け入れることを目的として、清新学校給食センター跡地に「救援物資集積・配送センター」を開設しました。さらに、災害に強いまちづくりの実現に向け、「さがみはら防災・減災プログラム」により、2013年度から15年度までの3ヵ年を集中期間と位置づけ、市内全世帯への「防災ガイドブック」の配布など即効性のある事業を行ってきました。さらに、3月には、災害対策の充実、効果的な防災体制の構築を目指して、「地域防災計画」の見直しや市内22地区における「地区防災計画」の策定など、地域防災力の一層の向上を図ったところです。
新年度予算編成の骨格
スポーツ界では嬉しい話が色々ありました。初めは箱根駅伝で、相模原市に練習の拠点がある青山学院大学の2連覇で始まりました。青山学院は10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝でも優勝しており、今年の箱根では史上4校目となる学生三大駅伝制覇を達成してくれることを期待しています。リオオリンピックでは南区出身で飛板飛込の坂井丞選手が念願の日本代表として出場しました。パラリンピックでは、車椅子テニスの総監督として率いた南区在住の中澤吉裕さんが、女子シングルスと男子ダブルスを銅メダル獲得に導き、視覚障害者マラソンでは、相模原市の職員である青山由佳さんが、「きづな」という名のロープで選手を導く伴走車として、道下美里選手の銀メダル獲得に貢献しました。11月にはホームタウンチームであるノジマステラ神奈川相模原が、結成5年目で女子サッカーなでしこリーグ2部で優勝をし、今年はいよいよ県内初の1部リーグ昇格をします。昨シーズンはチャンスがありながら、入れ替え戦で引き分けに終わり規定上昇格を果たせなかった。1年間その悔しさをバネに選手が頑張ったということで、引き続き皆で応援していきたいと思っています。
一方7月には、緑区にある障害者支援施設・県立津久井やまゆり園で、多くの命が奪われるという許しがたい事件が発生しました。こうした事件が2度と起こらないようにするためにも、一人ひとりが障害者への理解を深め、偏見や差別をなくすことが重要です。共生できる社会を形成するためにも被害に遭われた方の対応と併せ、国や県など各自治体と協力しながら、しっかりとやっていきたいと思っています。
――新年度予算編成の骨格、テーマ、重点施策をご説明下さい。
人口減少、少子高齢化、先行き不透明な経済情勢など、課題が複雑化、多様化する中、相模原市では「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」に基づき、地方創生に向けた取組を進めています。
まず大切なのは、財源の問題です。市民税などの市税収入の増加が期待できないことや、一部地方にも還元される消費税率引き上げが1年半延期になった影響があります。一方、歳出部分では医療や福祉、生活保護などの扶助費の増加や老朽化する公共施設の改修や更新などにより、引き続き厳しい状況になっています。
これらを踏まえ、2017年度の予算編成においては「後期実施計画の着実な推進」「地方創生の取組の推進」「持続可能な都市経営の推進」を基本的な考え方として、取り組んでいきます。その中で、市政運営に当たっての重点項目を5つほど上げさせてもらいました。
(続きは次号1月5日号で掲載)
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