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震災の「記憶」を「記録」に残す

社会

公開:2019年3月21日

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古橋大地さん1975年生まれ。青山学院大学地球社会共生学部教授。被災状況の地図作成を通じて情報支援を行う「NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン」理事長。
古橋大地さん1975年生まれ。青山学院大学地球社会共生学部教授。被災状況の地図作成を通じて情報支援を行う「NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン」理事長。

 市民発の災害ドローン救援隊として活動する「NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン」。マッパーとは「地図を作ることができる人」を意味し、同法人では災害時にドローンや衛星写真で情報を集め、被災状況を反映した地図を迅速に作成しオンライン上で提供。救護や避難活動を地図を通してサポートしている。自身が国内で最初にドローンでの活動を行ったのは、東日本大震災だった。

 前年のハイチ地震での経験から、発災後の地図が救護活動や支援につながると思い行動を起こした。発災の数時間後にはJAXAなどから提供された衛星写真や、当時珍しかったドローンによる空撮などをもとに、被災状況を詳細に反映した地図の作成を開始。津波で被害を受けた岩手県、宮城県、福島県を中心に作られた広範囲の地図は現地で活動するNPOなど多くの組織に提供され、復旧支援に役立てられた。

 現地調査を兼ねて被災地を訪れたのは、震災から約2カ月経った2011年5月。当時勤めていた大学の上司と2人で、大学関係者が被災した岩手県大槌町を訪れた。現地入りのハードルが高く時間を要してしまったが、被災地の状況は想像を超えていた。同所は津波で甚大な被害を受けており、見渡す限り土砂や残骸が溢れ、流されてきた大型観光船が海岸から離れた建物に乗り上げるなど衝撃的な光景もあった。

 活動を通じて「ドローンによる空撮は有効」という実感を得ることができた。同時に、言葉では言い表せない悲惨な状況に「記録しなければこの風景は残らない。忘れ去られてしまうかも」とドローンや高解像度のロボットカメラを使い、被災地の様子を継続して撮影することを決めた。

 記録しなければ、という強い思いがあったものの、被災者を傷つけてしまうかもしれないという懸念もあった。しかし予想に反して「ここを撮ってほしい」「来てくれてありがとう」と声をかけられたという。「何が起きたのか記録に残しておかなくてはならない、と思っている被災者の方も多かったのだろう」と当時を振り返る。

 その後も3年間足を運び、写真を撮り続けた。少しずつ復興を遂げていく様子も写真に収め、それらを世界中の人が見られるようインターネット上に掲載した。「辛い思いをした人もいるなかで、記録に残すことが必ずしも良かったかは未だに分からない。しかし残さずに無かったことになってしまうほうが失うものが大きいと思いました」

 同法人は現在、相模原市を含む26の自治体と防災協定を結ぶ。市近辺で災害が起こった際には、青山学院大学の相模原キャンパスからドローンを飛ばして地図の作成にあたる。「東日本大震災で学んだことは大きい。僕たちが作った地図が防災の一助になれば」と未来を見据える。
 

大和市の消防隊との訓練でドローンを扱う古橋さん(右)=提供
大和市の消防隊との訓練でドローンを扱う古橋さん(右)=提供

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