相模原市は5月29日、2022年度に子育て支援センターと児童相談所(児相)で虐待の相談を受けた児童数を発表した。相談数は6年連続増となる前年比6・6%増の3170人で過去最多を更新した。
子育て支援センターは、子育てについての不安や悩みの相談ができる施設。相模原市には3区に各々設置され、産婦健診や子ども定期健診で虐待が疑われるケースなど、比較的軽微な虐待の相談が多い。22年度の市の相談人数は前年比で308人増の1385人。
児相は、児童福祉法に基づき設置される自治体の機関。市内ではウェルネスさがみはらに設置され、相談のほか一時保護・措置機能などの権利を有し、児童を強制的に両親から保護できる権利を持っているため、警察機関からの相談が多い。22年度の相談人数は、前年比で111人減の1785人となった。
市こども・若者未来局こども家庭課の担当者は「毎年少しずつ増えている相談人数や虐待の内容や年齢層の傾向も、相模原市は全国的な傾向と同じ兆候を示している。相談人数の増加は、行政や学校、警察などに相談や通報しやすいシステムや雰囲気が構築されている背景もある。悩んでいたり、虐待が疑われるケースを発見したら、躊躇せずに相談してほしい」と話す。
近年の相談人数の増加傾向について、和泉短期大学(青葉)の児童福祉学科の中安恆太准教授は「ここ数年の児童福祉法や児童虐待防止法等の改正によって、関係機関との強化が図れていることも一因。例えば、心理的虐待には、こどもの面前でのDVが含まれるが、DVに対応した警察と児童相談所の連携が図れていることがあげられる。また、令和元年度には、しつけによる体罰の禁止が示されたことなどにより、市民の虐待への意識が高まったことも相談人数の増加に繋がっていると考えられる」と分析した。
95%が両親の虐待
虐待の種類は、脅迫や無視などの心理的な外傷を与える言動などの「心理的虐待」が1508人(前年比+78人)と最も多く、次いで食事を与えない・長時間の放置などの「ネグレクト」が972人(同+4人)、殴る・蹴るなどの「身体的な虐待」が659人(同+98人)。
虐待を受けているこどもの性別は男女ほぼ半々で、年齢は1歳から就学前の幼児が最多の1152人(36・3%)、次いで小学生が1021人(32・2%)となり、この世代からの相談が全体の7割近くを占めている。虐待者は実父が1062人(33・5%)、実母1947人(61・4%)で、両親からの虐待が95%近くになっている。
こうした状況を中安准教授は「虐待者の約95%が実の両親であり、虐待は家庭内という閉鎖的な環境で起きやすい。虐待を早期に発見するためには、周囲の気づきが重要」と指摘した上で「虐待を経験して育った人からは、家庭が社会から孤立していたという声や、周囲にSOSを発信したが適切に対応してもらえなかったという声がある。こどもや親からのSOSや違和感に気づいたら、子育て支援センターや子どもの権利相談室などの専門機関に先ずは連絡してみることも重要」と話している。
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