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伊勢原版 公開:2020年6月26日 エリアトップへ

トップ対談 新型コロナ対応で連携 高山市長と井上病院長

社会

公開:2020年6月26日

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井上病院長(左)と高山市長=6月6日、伊勢原協同病院で
井上病院長(左)と高山市長=6月6日、伊勢原協同病院で

 伊勢原市の高山松太郎市長は6月6日、伊勢原協同病院を訪れ、井上元保病院長と新型コロナウイルス感染症の対応について、対談形式で意見交換を行い連携を確認した。同院の患者受け入れの状況や、検査体制、第2波への心構えなどについて話し合った。

クルーズ船患者受入れ

 高山 「新型コロナウイルスの件では大変なご苦労があったのだろうと思っています。私ども近くにいながらも、なかなか実情は分かっていないのが現実。新型コロナウイルスが日本で大騒ぎになったのは1月の終わり。協同病院の引き受けはいつごろからですか」

 井上 「はじめはダイヤモンド・プリンセスの患者さんを引き受けました。神奈川県で調整をして、感染症指定病院から順番に声掛けがありました。受入れたのは外国籍の患者さん。うちの病院は感染病棟を持っているわけではない。入院後の検査の動線とか、一般の患者さんとどうしても交わってしまう部分があって、その方が通るたびに消毒し、感染防止対策をしました。病室の空気が外に出ないで中に取り込む陰圧個室を持っているということで引き受けができました」

 高山 「受け入れられるとき、先生方も看護師の方を含めて職員の方もかなりの動揺があったと思います」

 井上 「そうですね。受入れるには感染防護服を正しく着ることが第一で、感染対策の看護師が対応する職員を教育して、感染防護服があっても正しく使わなければ、感染してしまう。その辺の教育から始まって、最初は受け入れた病棟の医師や看護師の疲弊が結構強かったと思います」

PCR検査体制の充実

 高山 「(病院の)正面玄関で検温をされていますね」

 井上 「呼吸器内科のすすめで、うちの病院では発熱外来相談を体温37.3℃以上の方に設定しています」

 高山 「そこで陽性反応が出た患者さんもいましたか」

 井上 「はい。うちの病院では確か5人だったかと思います」

 高山 「そこでチェックができたので、良かったですね」

 井上 「発熱があるかと、あとは問診ですね。周りに熱が出ている人がいないかとか、味覚障害がないかとか、問診項目をいくつかしっかり決めて、熱を測るとともに問診だけで怪しいなという方も発熱外来の方に回って頂き、PCR検査を検討するという対応をしてきました」

 高山 「最初、市民からもPCR検査をどんどんやってほしいと、要望がけっこうありました。そうしたら医師会にやって頂けるようになった。最初、もっとできなかったものですか」

 井上 「はじめは保健所にまず検体を全部持っていって、検査に回して頂いていた。他の医療機関からの検体提出もあることから、そこで制限がかかってしまった。そのあと民間のPCR検査をする会社が出てきて、それから数が少しずつ増えてきた。民間の処理能力もあがっている。本日、感染防止ボックスを寄付していただき、PCR検査の検体採取時に空調設備付きなので、職員が暑さによる体力の奪われも少なくなる。本当に助かりました」

 高山 「伊勢原市は人口10万人あたりで、県内19市では一番感染者数が少ない。伊勢原協同病院をはじめ、先生方のお陰かと思っています」

 井上 「本当に幸いでしたね。近隣市から患者さん入院受け入れ要請がありました。実際に伊勢原の患者さんよりそちらの患者さんが多かった」

 高山 「いまPCR検査のほかに、抗原検査、抗体検査とか言われていますが、どうなんでしょうか」

 井上 「PCR検査が80%くらいの感度、20%は見逃してしまうといわれています。抗体検査は大まかにいうと60%くらいの感度で、精度は少し落ちると言われている。PCR検査と抗原検査も検査の方法は鼻から綿棒で採取する方法で同じ。良い点としてPCR検査は早くても結果に一日程度かかるのに対して、抗原検査は一時間から一時間半で結果がでる。至急コロナ感染の有無が知りたい患者さんには有効です」

緊急事態宣言解除後の日常

 高山 「小中学校を6月から再開したが、第2波がどうなるのか、子どもたちがどうなのか心配をしています」

 井上 「いま北九州をみていると、コロナ感染者が一人出て、濃厚接触者を検査すると無症状のPCR陽性者が出てきてしまっている。感染症一般という考えでいけば、学校がはじまるとしばらくは予防を徹底しないと、一人感染者が出るとさらに出る可能性がある。心配ではありますが、学校をやらないわけにはいかない」

 高山 「それと、お年寄りを家の中に閉じ込めておくのも限界を超えてしまっていると思う」

 井上 「呼吸器疾患以上に、私の専門は整形外科なので、危惧をしている。筋骨格系の衰えが進んでしまっていると思いますので、転倒による骨折とかが起きやすくなっている。表へ出るのを極端に怖がっている方もいる。家から外に出て日光を浴びないと骨粗しょう症も進んでしまいますし、筋力も落ちてしまう。心配ですね」

 高山 「病院長として伊勢原市民の健康と命を守って頂いた。6月30日で院長を下りられる。いままでの一番の思い出や、伊勢原市民に一言お願いします」

 井上 「私が院長になってから、常に地域密着・地域完結の医療を心がけてきた。今後もこの地域で医療を展開していくので、何かあれば頼って頂けるような病院でありたい。今後もさらに改善をしながら。私もまったくここに来ないわけではない、院内に残って診療は続けていこうと思っています。また貢献できればと思っています」

第2波への心構え

 高山 「最後に2波、3波の可能性について言われています。その見通しと、ワクチンや治療薬はどうなんでしょうか」

 井上 「2波、3波が来ないことを祈っていますが、小さな山は来る可能性はあるのではないか。ワクチンは早ければ年内とは言われていますが、日本で実用化されるのは来年なのかな。本当に大きな山を作らずに、病院の受入れ能力を超えるような患者さんが発生しないように、みなさんも予防して頂いて、私どもも受け入れるべき患者さんはしっかり受入れてしっかり治療をして、一人でも多くの方を助けていけるように努力をしていければと思います」

〈おわり〉

一般社団法人T.M.Sが6日、伊勢原市に寄付した感染防止ボックス。伊勢原協同病院に設置され、PCR検査で活用されている
一般社団法人T.M.Sが6日、伊勢原市に寄付した感染防止ボックス。伊勢原協同病院に設置され、PCR検査で活用されている

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