市内本町の「旧稲元屋呉服店内蔵と一番蔵」が3月13日、国登録有形文化財(建造物)に登録されることが決まった。同建物は文化庁の文化審議会で「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とされた。
稲元屋は、江戸期から旧藤沢宿を代表する呉服商であり、明治期以降は明治天皇をはじめ皇族の宿泊所を務めるなど、特に名家として知られた。かつては一番から八番まで蔵があったが、1977年の火災で多くの建物を失い、内蔵と一番蔵のみが現在する。
特に内蔵は、丁寧な造作と優れた意匠を備え、地域の歴史的資産と位置付けられている。また、関東大震災前に建てられた一番蔵では、貫を込め栓止めする手法をとり、震災後の建築である内蔵は大筋違の使用やボルトなどの金物補強が導入され、耐震手法の変化をうかがい知れることが特徴。
現在、一般公開はされていない。藤沢市内における登録有形文化財は、今回の登録を含め7箇所12件になる。過去には、江の島の老舗旅館の洋風浴室「岩本楼ローマ風呂」、旧東海道藤沢宿で茶・紙問屋を営んだ旧家の店蔵「桔梗屋」、羽鳥村の名主の住宅「旧三觜八郎右衛門家住宅」などがある。
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