東日本大震災の翌日には現地入りし、日本のみならず台湾やインドネシアなど、世界の災害現場で人命救助を担う犬たちが市内葛原にいる。倒壊した建物から行方不明者を捜索する「災害救助犬」だ。
中でもジャーマンシェパードのリヒト(4歳・オス)は9月24日から26日に、デンマークで行われた「IRO救助犬の世界選手権大会」がれき捜索部門で世界2位の栄冠をつかみ、注目を集める新星だ。
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今大会には、21カ国52団体から計116頭が出場し、3部門(足跡追及11頭、がれき捜索49頭、広域捜索56頭)に分かれて、その技術を競った。日本からはリヒトを育成・訓練する葛原の「NPO救助犬訓練士協会」の村瀬英博理事長(62)ペア、息子の裕太さん(29)とゴールデンレトリーバーのレオ(7歳・オス)ペアが日本代表として、がれき捜索に挑んだ。
リード無しの脚足行進や水平はしご渡り、トンネルなどを争う「服従、熟練作業」で、リヒトは92点を叩き出して暫定2位に。続く「嗅覚作業」では、地下と地上2階を有する約1500平方メートルのがれきの中から、わずか9分で3人の要救助者を見つけ出して計273点を獲得し、準優勝に輝いた。優勝のオーストリアにわずか1点及ばなかった。レオは順調に得点を重ねるものの、30分以内に最後の1人を発見できなかった。
「去年は僕がリヒトの足を引っ張ってしまったが、今年はリヒトの実力を発揮できた。優勝ペアは日ごろからともに鍛錬を積む仲間だったので、1、2フィニッシュが決まった時には抱き合って喜びを分かち合った」と村瀬さんは相好を崩す。
09年大会で4位入賞を果たしているエロス(13)を父に持つリヒトは、一昨年から3連続出場を果たす注目の若手救助犬。エネルギッシュで好奇心旺盛なため、救助犬には打ってつけの性格だという。
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「犬の能力の高さをもっと世の中に伝えられないか。犬たちの素晴らしい能力を生かして社会貢献を果たしたい」。村瀬さんは警察犬の養成やドッグトレーナーを行う傍ら、99年から国連基準に基づいて、災害救助犬をボランティアで育成している。徘徊などの足跡追跡や山などの広域捜索、雪崩、がれき、水難など、犬の適正を見極めて養成する。「訓練では隠れている人が褒めてくれたり、遊んでくれたりするが、現場では正解が無いことも多い。いかに犬のモチベーションを保ち続けられるかが重要」と話す。災害現場は怪我や病気など、救助犬にとっても高リスクをはらむ。しかし、「一人でも多くの命をいち早く救う」という使命を抱きながら、今日も訓練に励む。
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