障害や高齢、低所得などを理由に、家を借りることが困難な人をサポートする「居住支援法人」のニーズが全国的に高まっている。藤沢市内でもNPOの2法人が指定を受け今年6月から活動を開始。相談者の慣れ親しんだ地域での暮らしを後押ししている。
住居の確保が難しい人の支援を行う居住支援法人は、セーフティネット法が改正されたことに伴い、昨年10月に発足した。各都道府県が法人を指定する。
これまでは、当事者が個々に不動産会社などを通じて住まいを探すしかなかった。それが居住支援法人を介すれば、物件探しだけでなく、身元保証や就労支援など法人ごとの特色を活かした生活支援も含まれるなど、相談者のメリットは大きい。
ただ一方で、担い手の法人については不足する状況が続く。県内全域でも現状指定を受けるのはわずか6法人にとどまっているのが現状だ。
高齢者や生活困窮者への居住支援については、不動産会社など一般企業が積極的に参入しづらい実情がある。「家賃がきちんと支払われるか」「入居者同士で何かトラブルが起きるのではないか」。そうした懸念がついて回る上、ビジネスとしての利益が不透明だからだ。
地域と繋ぐ支援を
そうした中、受け皿として期待されるのが非営利活動法人。市内で活動する2法人も非営利のNPO法人で今年6月、県から指定を受け、事業を開始した。
市内で介護事業やグループホームの運営などを行う「認定NPO法人ぐるーぷ藤」。事業担当の松岡薫さんによると、施設を利用する80代の男性から「アパートから立ち退きを求められている」と相談を受けた。「高齢の一人暮らしで遠くに引っ越しては地域との関係性も途切れてしまう」。日頃から付き合いがあるだけに、課題はすぐに分かった。そこで法人が安否確認などを請け負うことなどを丁寧に不動産会社に説明することで、男性は無事近所に引っ越すことができた。
またNPO法人シニアライフセラピー研究所は、2017年1月にNPOとして首都圏初となる宅地建物取引業の資格を取得。自らオーナーと交渉し、物件の開拓に努めることで、時間をかけずに住まいを提供できる仕組みを作り出した。「不動産の専門家とソーシャルワーカーが、住居から就労支援、生活支援まですべてをサポートできるのが強み」と代表の鈴木しげさんは説明する。「市から仕事の紹介も来るようになった。この事業はこれからの時代、さらに必要になると思う」と話した。
|
<PR>
藤沢版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|