「広大な土地に葬儀社がぽつんとあるだけ」。かつてそう揶揄された辻堂駅北口周辺はこの10数年でまるで別都市のように様変わりした。真新しいマンションや病院、商業施設が建ち並ぶ「湘南C-X(シークロス)」と呼ばれる工場跡地の都市再生事業が一段落して約7年。ここでは今、新たな価値の創出に向けた取り組みが始まっている。
「いい形でキックオフできた。ロボットとの共生を、世界に発信したい」
昨年11月、テラスモール湘南を視察した黒岩祐治県知事は満足そうな笑みを浮かべた。この日は辻堂駅周辺に最先端のロボットを一堂に集め、最新の技術をPRするイベントの初日だった。
県は全国に先駆けてロボットの実用化や普及を推進しようと、2013年から藤沢市や相模原市など10市2町を「さがみロボット産業特区」に指定。特に「かながわロボタウン」と位置付ける辻堂駅北口周辺では、テラスモール湘南を中心に不審物を探査するロボットの走行やアプリを使った施設内の経路案内などの実証実験が行われている。
藤沢市もこうした動きをまちづくりに連動させようと、15年には「ロボット産業推進プロジェクト」、18年度には新たに「ロボット未来社会推進プロジェクト」を策定。企業誘致や積極的に実証実験の場を提供するなどし、関連事業の集積に力を注いできた。
介護支援や移動支援ロボットなど約50種類を展示するシンボル施設「ロボテラス」では、昨年1年間で7千人が来場。スタッフの一人は「この施設だけではなく、ロボット事業そのものについても関心の高まりを感じている」と話す。
一方、事業者らもロボットを基軸にしたまちの活性化を歓迎する。周辺ビルのオーナーや行政などが組織するC-Xまちづくり協議会の高木實会長は「今やAIやロボットの時代。辻堂が『ロボットの街』という認知が広まることで、街のブランド価値がさらに高まれば」と期待を寄せる。
市は5月にも新たな会議体を発足させ、官民協働で意見交換を行いながら事業を推進する方針。市産業労働課は「様々な意見をいただきながら、より強力にプロジェクトを進めていきたい」と話した。
(連載おわり)
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