津波警戒地区に「ハマボウ」
日本原産のハイビスカスと言われる海浜植物「ハマボウ」。津波や洪水などの被害を軽減する効果もあることから、地域の防災や啓発に役立ててもらおうと小中学校周辺で植栽に励む人がいる。辻堂在住の松田省吾さん(79)。7年前から始め、これまで300本以上を育ててきた。「日頃忘れてしまいがちな防災の大切さを考えるきっかけにしてほしい」と話している。
きっかけは2004年のスマトラ島沖地震。「津波被害地区に暮らす住民として、何か対策できることはないか」と意識するようになった。模索していたところ、海水や強風、波など海岸地域に適応したハマボウの存在を知り、植樹を決意。育て方などを学ぼうと、石垣島や小笠原諸島など群生する場所に実際に足を運び、研究を重ねた。「スマトラ震災時も、同じ特徴を持つマングローブ樹が津波被害を軽減したという報告もある」と松田さん。震災を機に植物が持つ防災効果が注目されるようになったという。
ハマボウは、近年の河川改修や海浜部造成に伴い数が減り、海浜植物の中でも希少種とされている。高さ2〜3mに成長し、7月中旬から後半にかけて、黄色い花を咲かせる。松田さんは「枝がもっと増えて、たくさんの葉っぱが茂ると壁のようになり津波から守ってくれる。花は対策のシンボルになる」と言葉に力を込める。
植えている場所は辻堂西海岸の小中学校の周辺。学校で有志の子どもたちに、ハマボウやその他の海浜植物について指南しながら、一緒に世話もする。松田さんは「重要なのは未来を担う子どもたちに防災への意識を高めてもらうこと。ハマボウがその一助になれば」と思いを話した。
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