コロナ禍による外出自粛が続く中、週末の観光客増加が問題となっていた江の島や湘南海岸は25日、一転し、ぱたりと客足が止まった。22日に鈴木恒夫市長を始め沿岸の首長が相次いで来訪を控えるよう声明を発表したことが奏功したとみられる。観光関係者からは終息を願う一方、先行きの見えない状況を不安視する声も上がった。
同日昼過ぎの江の島。前週末の賑やかさは消え、観光客と思われるのは数える程度。駐車場に観光客が入らないよう監視していた男性は「圧倒的に人が減った。県外ナンバーも目に付くが、駐車場が閉まっているからドライブ程度にとどまっているようだ」と話す。
前週の19日には国道134号線は大渋滞が発生。砂浜にも”コロナ疎開”とみられる行楽客があふれた。週明け、市には感染リスクなどを懸念する声が200件近く寄せられたといい、「江の島を封鎖してほしいという声も少なくなかった」という。
鈴木市長は来訪を控えるメッセージを発信するとともに、鎌倉、逗子市、葉山町など相模湾沿岸の11首長と連名で黒岩祐治県知事に要望書を提出。海岸エリアの封鎖や主要国県道の通行止めなどの強い措置を求めた。
こうした状況に、島内の飲食店や土産物店の店主らは「感染拡大防止のためには仕方がない」と納得しつつ、複雑な胸中抱える。江の島振興連絡協議会の湯浅裕一会長によると、「春の大型連休は一年で最も売り上げがたつ『天王山』」。シラス丼などを看板にする飲食店で働く50代男性は「連休中は1日400、500組が来店するが、今は例年の1割以下。連休明けに客足が戻るとも思えない」と肩を落とす。この日は10数組が来店しただけだった。
22日の記者会見で鈴木市長は大型連休を念頭に「経済的な損失は計り知れない」としつつ「このような(来訪を控える)メッセージを発するのは観光都市として断腸の思いだ」と述べた。
土産物店「紀の国屋本店」の店主でもある湯浅会長は「この時期にきちんと商いができないのは皆無念だと思うが、今は我慢の時。再開したときに改めて来訪者におもてなしができるよう、力を蓄えたい」と話した。
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