藤沢市の伝統玩具「片瀬こま」を製作する片瀬こま保存会は、岩手県大船渡市の市の花・ツバキの廃材を使ったこまを作り、交流を続けている。
片瀬こまは、昭和初期頃から片瀬地区に伝わる玩具。漁業者が作ったのが始まりとされ、祝い事などの贈呈品としても使われる。直径10cmほど、本体はツバキ、心棒はカシで、ずっしりとした重さが特徴だ。
きっかけは2018年、同会事務局長の杉下由輝さん(49)が、所属する別団体の交流で、藤沢市と「災害時における相互応援に関する協定」を結んでいる大船渡市の復興支援植樹に参加。まだ復興途中の街をまわる中で、廃材として積み上げられたツバキの木に気付いた。
大船渡は別名「椿の里」。熊野神社には日本最古・最大とされる樹齢1400年のヤブツバキもあり、地域の誇りでもあった。しかし、津波で街中の木は流され、残った林も震災後の整備などで伐採されてしまった。
「偶然の出会いに運命を感じた」杉下さんは、廃材を使いこまを作り、大船渡市の子どもたちに寄贈する活動を始めた。
手作業で心つなぐ
現在片瀬こまを作れるのは同会の熊野安正会長(85)と杉下さんの2人だけ。手作業のため製作には半年ほどかかる。廃材の山から適した木材を選ぶだけでも一苦労。それでも「皆に笑顔になってほしいから」と届け続ける。杉下さんは「子どもたちだけでなく『地域の誇りが帰ってきた』と喜んでくれる大人の方もいる。いつか一緒に大会もできたら」と話した。
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