東京五輪・パラリンピックに際し、善行の県立スポーツセンターで事前キャンプが実施される。8月から利用を予定しているのがポルトガルパラチーム。同チームがキャンプ地の決め手にしたという「優れたパラ競技環境」を取材しに同センターに足を運んだ。
同センターは、総工費約132億円、約4年をかけ旧体育センターを改修し、2020年4月に完成した。
敷地の広さは約14万平方メートル。観客席5200人分を備えた陸上競技場、常設リングの設置されたボクシング練習場などを備えるアリーナなどがある。今回の事前キャンプ誘致も視野に、宿泊棟も新設された。
特に力を入れたのが、パラスポーツ環境の充実化だ。宿泊棟も含め、全館バリアフリー化。車いす利用を想定し、各部屋の段差をなくし、通路も広く取ったほか、トイレなどの案内表示の位置を下げ、車いすでも見やすい高さに配慮した。
メインとなるアリーナの床には車いすラグビー用などパラスポーツ競技対応のラインを引き、体温調節の苦手な競技者を想定した空調も完備。一般的な体育館よりコート外のスペースが広く、控えの車いす競技者も動きやすくなっている。
また、視覚障害競技向けの遮音配慮をした多目的ルームには、ボッチャ競技のコートや、県内唯一となるパラボルダリング競技対応の壁も設置された。
多様化社会形成へ
パラ環境に力を入れた背景には、全国的なパラスポーツ認知度の高まりや、多様化社会形成への動きがある。これまで県は、スロープや多目的トイレ設置など既存施設のバリアフリー化を図ってきた。整備段階から障害者スポーツを柱の一つに据えた大規模スポーツ拠点は県内初となる。
県は実際のパラ選手らにヒアリングを行い設備を検討。アリーナの車いすメンテナンスルームは、当初計画にはなかったが、競技者の悩みを聞く中で取り入れられた設備だ。大塚和弘所長は「障害者にとってかゆい所に手が届く配慮を目指した」と話す。
市障がい者スポーツ連絡協議会の種田多化子会長は「練習場、競技場にパラの視点を取り入れ、本当の意味で障害者スポーツに必要な施設を作ってくれた」と話し「(同センターが)パラスポーツの聖地になるのでは」と期待を寄せる。
大塚所長は「障害者の方にとって使いやすい施設は、高齢者や子ども、誰にとっても使いやすい施設のはず。これからも利用者の声に寄り添いたい」と話した。
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