藤沢総合野球部でたった一人の３年生。入部以来、部活の時間をほぼ一人で過ごしてきた。過去の大会は全て合同チームでの参加。レギュラーで試合に出た経験はない。それでも常に笑顔、常に全力。ベンチから大きな声で仲間を鼓舞し、裏方の仕事も率先して務める。「どんな形でもチームに貢献したい」。その姿は他校の生徒からも絶大な信頼を得ている。
実は中学時代も、部員が自分ひとりだけの経験をしている。顧問と練習メニューを考案し、黙々とこなす日々。だが辞めたいと思ったことは一度もない。「自分の代で部をつぶしたくない責任もあったし、やっぱり野球が好きだから」。自身が３年になった時、１年生が８人入部。中学最後の大会は単独チームで出場することができた。「もちろん試合はぼろ負けで。でも結果よりも、出られたことが何よりもうれしかった」
今年の夏は瀬谷西、横浜旭陵、横浜緑園との合同チームで出場する。高校時代の公式戦は未勝利。初安打も経験していない。「この夏の大会で１本ヒットを打ちたい。それを達成してチームが勝てたら最高です」と満面の笑顔を見せる。
本気で野球に取り組むのはこの夏が最後と決めている。高校での部活を二人三脚で支えてくれた顧問の野口陸教諭と応援し続けてくれた家族のために、最初の、そして最高の１本を放つため、今日も笑顔でバットを振り続ける。
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