「ソレ」「アーコリャセ」。笛や太鼓、三味線にチャルメラ、銅鑼のにぎやかな祭囃子が江の島に夏を連れてくる――。江島神社の境内社、八坂神社の創立を再現した藤沢市の重要無形民俗文化財の祭礼「天王祭」が9日から14日にかけて行われた。
大波で流された「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)」の像を江の島の漁師が海中から引き上げ「八坂神社」として祭ったという伝承に基づき、江戸時代に始まった行事。現在は毎年7月の第2日曜日を中心に行われている。
コロナ禍で、神輿を担いで海上を進む行事は中止となったが、伝承を再現し、木臼の上に戸板を渡した上に神霊を乗せ、海水を振りかける独自の神事は執り行った。
今年は3年ぶりに祭りを盛り上げる「江の島囃子」が復活。9日の夜に行われた「宵宮(ヨミヤ)」と呼ばれる前夜祭、10日の本祭で海と神社を行き来する大神輿の行列で披露された。
江の島囃子は、江戸時代に始まり、三味線やチャルメラなど他ではあまり見られない楽器も使用するなどの特徴を持ち、神奈川県無形民俗文化財に指定されている。
氏子総出で取り組み、島外に出た人も、この時期になると島に戻ってくるという。未就学児から高齢者まで揃いの浴衣に身を包み、150人規模で列を成して演奏する。島の住人は「この音を聞くと『夏が来た』と実感できる」と話す。
先頭は子どもたちが務めるのが決まり。参加した子どもは「やっと演奏できてうれしい」と笑顔を見せ、江島神社は「伝統が無事受け継がれて良かった」と話した。
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