県内170チーム(186校)が出場した「第104回全国高校野球選手権神奈川大会」は27日、横浜高校が優勝し大会を終えた。
今大会、藤沢勢は藤沢清流、藤沢翔陵の2校が8強入り。22日、2校はそれぞれ横浜スタジアムで4強入りをかけて熱戦を繰り広げた。
プロ注目の左腕・木島直哉投手を擁する清流は、春に4強入りし大会を第1シードで迎え公立唯一の8強入り。準々決勝で立花学園と対戦し延長11回、2対3のサヨナラ負けを喫した。翔陵は昨夏の4強以上を目標に、横浜高校に挑むも1対8の7回コールドで敗れた。今夏、躍進した2校の軌跡を追った。
藤沢清流高校悲願届かずも有終の夏
大会屈指の左腕が燃え尽きた。2対2で迎えた延長11回裏、1死満塁。渾身の161球目は右中間にはじき返され、立花学園のサヨナラの走者が本塁を踏んだ。初回から何度ピンチを迎えても、表情を変えず一人投げ抜いてきたエースは、グラウンドに伏せて嗚咽をもらした。「しんどい中でもチーム皆でやって来られた。(今日は)負けてしまったが、(自分たちに)満点をあげたい」。試合後、涙を拭うと自身とチームを称えた。
4月、春季大会で創部以来初の4強入りを果たした清流の中心は二刀流を体現する木島直哉投手(3年)。185cmの長身から伸びのあるストレートを中心に変化球を織り交ぜチームを勝利に導いてきた。今大会は第1シードで迎え、2回戦から登場。8対4で磯子工を下すと海老名に3対0で完封勝利、木島投手を休養させた百合丘戦も6対5で勝利し、湘南学院戦は1対0で完封してみせた。
田嶋陽人主将(同)は言う。「3年間、皆がいなければここまで来ることはできなかった」。この日もベンチには常に前向きな掛け声と、選手たちの白い歯がこぼれた。ピンチを脱した瞬間には「木島さんナイス」、7回裏同点に追いつかれても「終盤勝負は想定内だ、大丈夫」。互いを鼓舞し続けた。
試合後、榎本正樹監督は木島投手にそっと声をかけた。「4年後、プロになってここに戻ってこい」。力強い言葉が背中を押した。
藤沢翔陵高校完全燃焼 爪痕残す
昨夏も敗れた相手に力の差を見せつけられた。エース・石井颯投手(3年)ら3投手の継投で耐え抜いた7回裏、センター前にはじき返された打球は走者一掃の適時打に。3点が入り、規定で1対8のコールド負け。水野朝陽主将(3年)は「また横浜高校にやられてしまった。投手が粘ってくれたが、野手がカバーできず得点も1点止まり」。悔しさをにじませた。
今大会、2回戦から登場した翔陵は長打は少ないながらも大会中16盗塁を決める足を絡めたスタイルで、津久井浜、大和西、鶴見大付相手に勝ち進んだ。8強入りをかけて20日の桐光学園戦。今大会最長4時間9分の激闘は延長14回タイブレークの末、11対7で春の覇者で第1シードの桐光学園に勝利した。
勢いそのままにこの日を迎えたが、強豪の壁は厚かった。先発は大会初先発の園川龍来投手(同)が粘るも毎回先頭打者の出塁を許し、3回まで1点ずつ献上し0対3。3回裏途中で、桐光学園戦で135球を投げたエース・石井が登板し、後続を断ち切ってしのいだ。打線は5回、玉城巧望選手(2年)の犠飛1点にとどまった。
川俣浩明監督は「今年こそと思い挑んだが、攻撃面、守備面とも差を見せつけられる結果になった。それでも大会を通じて選手たちの成長を感じられた」と労った。新主将を任されることになった玉城選手は「打倒横浜でいく。後輩たち僕らが来年こそは勝ちたい」と前を向いた。
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