公立校が、強豪私立を撃破して夢舞台に立つ。そんな「公立の雄」を全員が本気で目指している。なら、自分にできることは――。
「さぁこい。ナイスボール!」。梅雨どきの貴重な屋外での練習日、グラウンドには一際大きな声が響いていた。声の主は右翼手の吉田由芙紀(ゆうき)(3年)。自他ともに認める、部内一のムードメーカーだ。
「とにかく一生懸命。決して器用ではないが、どんなに怒られてもへこたれず、今時珍しい」。川村靖監督は吉田をこう評する。
試合で劣勢になったときはもちろん、練習がうまくかみ合わず、雰囲気が悪くなったときも率先して周囲を盛り立てる。「自分が黙ったら終わりだなと」。今でこそ、チームを声で牽引してきた自負がある。
新チームからレギュラー入り。「小心者で、最初は打席に立つのも怖かった」と笑い交じりに振り返る。一時期試合に出られないこともあった。だから、「できることをやろう」と誰よりも声を出そうと決めた。
野球のセンスが飛びぬけているわけではない。それでも主将の上田涼(3年)が「チームのことを考えて声を出してくれていて、自分も助けられている」と話すよう、部内の信頼も厚い。
チームが目指すのは、前評判を覆し、強豪校を倒す「ジャイアント・キリング」。強豪とはいえ、同じ高校生。どこが相手だとしても、絵空事ではないはず。実際、春には横浜隼人や横浜商大との練習試合を制するなど、チームの調子は上向きつつある。
番狂わせは起こるものでなく、起こすもの。その鍵が、指揮官が言う「自分たちの力をどこまで信じ抜くことができるか」にある。高校生活総決算の大会まで1カ月。「声でチームを引っ張って、主役になるつもりでがんばりたい」
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