新型コロナウイルスをきっかけに働き方や生活様式が変容する中、地域経済も回復に向けた模索が続いている。果たして”処方せん”はあるのか。各業種や団体関係者に話を聞いた。
――コロナ禍での打撃は。
「3月後半から宴会需要がなくなり始め、特に昨年4月にオープンしたカフェは700人ほどの予約が全てキャンセルになるなど、大変厳しい状況でした。これまで狂牛病やリーマンショックなど、難局は度々ありましたが、収束の見えない不安をひと際大きく感じました」
――緊急事態宣言が解除されておよそ1カ月が経ちました。
「お客様の足はかなり戻ってきているように思いますが、それでも従前とはいきません。グループとしては前年比7割程度。テイクアウトや通販、ケータリングなど新しい需要を作っていく必要があります」
――気付かされたことは。
「開業28年目になる本店には、緊急事態宣言の解除後、昔馴染みのお客様がたくさん駆け付けてくださった。『心配して来た』『やっと来られた』。そんな言葉が本当に骨身にしみました。気付かされたのは、そんなお客様に支えられていたということ。来店されるのはほぼ地元の方ですから、藤沢という街に育てていただいたと言っていい。飲食店にとってお客様の信用・信頼が何より大事なのだということを痛感しました」
――飲食業はいまだ苦難の渦中にあります。業界の将来をどう考えますか。
「相当数の飲食店が今後淘汰されていくと考えています。コロナを堺に、外食産業に対する空気感が変わってしまった。『オンライン飲み会』など、外に行かなくてもいい生活様式が生まれ、毎週のように飲みに出かけていた人も従来のようには出かけないでしょう。また外食の機会が減るということは、相対的にお客様にとっての一度あたりの価値が上がるということ。『この店でなくては駄目』というお店以外は今後生き残れない。ただ、これは飲食業界がこれまでの構造から脱却する契機にもなると思っています」
――具体的には。
「例えば飲み放題という仕組み。原材料費も人件費も年々上がっているのに、価格はほぼ変わっていません。その分は当然、人件費や食材費にしわ寄せがいく。今回、我々飲食業界も『時代に合わせて変化しなければいけない』ことに気が付いた。客足が遠のく怖さはあっても、売り上げ至上主義になればお客様やスタッフへの目もかすむ。飲食業というものの価値を改めて提示し、若者が働きたいと思う環境を作っていく。それが28年この業界で生きてきた自分の責務だと思っています」
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