新型コロナウイルスをきっかけに働き方や生活様式が変容する中、地域経済も回復に向けた模索が続いている。果たして”処方せん”はあるのか。各業種や団体関係者に話を聞いた。
――コロナ禍によるタクシー業界への影響は。
「当社では緊急事態宣言後の4、5月は売り上げが前年比の8割減まで落ち込みました。稼ぎ時である終電後の客足が止まっただけでなく、通院や買い物の足に使っていただいていた日中の利用も激減した。人を運ぶことを生業とする我々からすれば『街から人が消えた』という印象です。6月に入って多少復調傾向にあるものの、依然厳しい状況が続いています」
――従業員の雇用については。
「当社には乗務員と内勤合わせて80人弱の従業員がいますが、1人も解雇することなく現在に至っています。乗務数を15〜30%程度抑え、雇用調整助成金など公的支援を活用した上ですが、何とか雇用を守りたい。ただ、先が見えない中でどこまで従業員を守れるか、常に不安を抱えているのも現実です」
――いわゆる「新しい生活様式」への対応は。
「車内には飛沫感染防止のしきり板を設け、定期的な換気や必要以上の会話を控えるなど感染症対策は実施していますが、働き方を変えるには限界もあります。乗車前の点呼やアルコールチェックもそうですし、乗務員が在宅勤務に切り替えるわけにもいきません。公共交通機関としての役割を果たしつつ、できる範囲で対応していくつもりです」
――飲食店と連携した「タクデリ」を導入しています。
「9月末までの期間限定ではありますが、5月から政府の特例措置を受けて始めました。予め登録していただいた飲食店の料理を代行して配送するというもので、利用料金はエリア内一律600円と利益を度外視しています。我々だけでなく、苦境が続く飲食店を少しでも応援できればという思いからです」
――経営者として今後の活路をどう見出しますか。
「コロナを前提とすれば、AIを活用した『無人タクシー』などが考えられますが、大手の領域でしょう。我々のような規模の会社には資金面から手が出せません。ですが、裏を返せば大手にはできないきめ細やかなサービスが我々の武器です。例えば当社ではお子さんだけでも利用できる『子育て支援タクシー』や事前登録することでスムーズに配車できる『陣痛119番』などに取り組んでいます。地域の潜在的なニーズに応え、タクシーをより身近な存在にしていく。当社が目標とする『地域密着』が時代を生き抜くヒントになると考えています」
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
藤沢版のローカルニュース最新6件
|
|
|
郡の中心から商業の街へ「長後」5月3日 |
|
|
|
<PR>