いつ起こるか分からない災害の「想定外」にどこまで備え、向き合うか。未曽有の被害をもたらした東日本大震災は、公助を担う行政にも大きな課題を突きつけた。地域防災計画や津波避難計画の策定、ハザードマップの改訂―。現在はコロナ禍に伴う感染症対策を踏まえた避難計画も急務だ。市の現状を追った。
「防災に関する行政の限界を浮き彫りにした。公助で賄いきれない以上、自助や共助が重要だ」。東日本大震災を境にした変化について尋ねられると、市の防災担当者は東北の津波被害を念頭にこう答えた。
市は震災後の2013年7月、地震や風水害対策の基本指針を定める市地域防災計画を全面改定。翌14年9月には初めて市津波避難計画も策定した。海に面する鵠沼、片瀬、辻堂の3地区については13年度に地区ごとの津波ハザードマップを作成。3月下旬には被害想定を見直した新たなマップの改訂が控える。
また津波対策については集合住宅や商業施設など民間と避難ビルに関する協定を進め、現在震災前の3倍近い134施設(20年12月10日現在)まで増やすなどとりわけ強化してきた。
ただ、制度設計や施設整備については限界もある。例えばこのほど改訂される洪水ハザードマップは最大想定雨量を100年に一度から「千年に1度の規模に見直した」という。だが、想定外の被害想定を追い求めた場合には際限がない。
そこで市が注力するのが、自助と共助に関する市民意識の醸成だ。21年度は「地域防災力の強化」を重点テーマに掲げ、自治会や自主防災組織などと連携を図りつつ、地域ごとの自主避難計画を後押しする。
市防災担当者は「(震災後10年で)どうしても地震や津波が他人事になってしまう部分がある」と指摘。「藤沢は転入者も多く、若い世代にいかに『自分の住むところで災害が起きるかもしれない』と自覚してもらうかが必要」と話す。
一方で、災害避難を巡ってはコロナ禍で新たな課題も浮上している。「3密」を防ぐため、避難所の定員数は従来の半分〜3分の1程度に。市は新たな避難場所の確保を図りつつ、分散避難や風水害時には「在宅避難」も推奨する。
市民の混乱はないか。「避難行動にセオリーはなく、地震や風水害など内容に応じて個々に判断してもらうしかない。市としてもその支援をしていく」
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