「藤沢橋に変な色のガソリンスタンドがあるじゃん」。きっかけは同僚記者の雑談を耳にはさんだことだった。そういえば筆者も以前から気になっていた。藤沢の玄関口に立地する大手スタンドなのに、ブランドカラーが違うような…。街並みに潜む「アレって何?」の謎に本紙記者が迫る。
新春の駅伝ルートを遊行寺方面に向かって車を走らせると、藤沢橋に差し掛かる交差点で「ENEOS」の看板が視界に入る。ブランドカラーはオレンジを基調にした暖色だったはずだが、見たところあずき色に近い。「年のせいで目がおかしくなったか」。思わず目をこすった。
「実はお客様からも同様の声をたくさんいただいています」。そう話すのは、サンリッチ藤沢=西富=を運営する(株)豊商会(本社・横浜市西区)SS部の鎌田豊マネジャー(44)。
鎌田さんによると、同店はエネオスの新ブランドへの移行に伴い、昨年3月にリニューアル。看板をはじめ、外壁や防火塀も従来のカラーから現在の落ち着いた色味に変更した。横浜や藤沢で7店舗を展開しているが、この色彩を採用しているのは同店のみという。
条例で努力義務
背景には、藤沢市が制定する条例がある。同店が立地する周辺エリアは旧東海道藤沢宿の一角で、寺社や歴史的建築物、文化財が多数集積する。
市はこうした歴史的景観を後世に残すため、2014年に「街なみ百年条例」を施行。遊行寺東側から藤沢本町駅西側までの1・4Kmとその周辺エリアを「街なみ継承地区」に定めた。
ガイドラインでは、歴史を感じる風景づくりのため、努力義務として屋外の広告物や看板を「彩度10以下」の落ち着いた色調にするよう規定。リニューアルに合わせ、同店がこれに応じた形だ。
「正直なところ、最初は抵抗感もありました」と鎌田さん。ただでさえコロナ禍で客足に影響が出始めていた時期。看板が目立たなくなることで売上が落ち込むのではないかと不安もあったが、幸い前後で大きな影響はなかった。「地域密着を掲げていますので、取り組みがお役に立てば」
藤沢に生まれ育ち、職場も藤沢一筋という同店従業員の守谷千瑞子さん(49)も声を揃える。「藤沢の人は皆地元が大好き。景観にしても街頭の変電箱(トランスボックス)に浮世絵を貼ったりして地域ぐるみで守っている。今のお店の外観も昔ながらの景観に馴染むと思う」と話した。
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