身に覚えのある激痛が左肩に走った。5月下旬、守備練習で打球に飛びついたときのことだ。腕に力が入らず、立ち上がることさえできない。まさか――。昨年11月に経験した脱臼だった。
絶望が脳裏をよぎった。「もう夏の大会に間に合わないかもしれない」。前回初めて脱臼したときはまともに野球ができるように回復するまで2カ月を要した。仲間が練習するのを横目にはやる気持ちを抑え、リハビリに専念して、ようやく復帰した。なのになぜ。だからすがるような気持ちで医師に尋ねた。「自分、夏までに間に合いますか」
2度目のリハビリが始まった。仲間とは別メニューを組み、インナーマッスルや下半身の強化に黙々と取り組んだ。診断後、川村靖監督からは「絶対に諦めるなよ」と檄を飛ばされた。大丈夫、絶対間に合う。何度も自分に言い聞かせた。
トレーニングの合間は、バッティングマシンを磨いたり、部で使う道具のメンテナンスに充てるようにした。故障中でもチームに少しでも貢献したいと考えたからだ。「夏の大会を勝ち抜くには、チーム全体の底力をどう上げるか。微力でもできることをしたくて」
野球人生、というと少し大げさかもしれない。でも、高校野球に憧れ、小中学校と野球を続けてきた。だから自分にとって夏の大会は集大成だ。
昨年コロナ禍で聖地を目指すことができなかった先輩たちの分までがんばりたい気持ちもある。だから絶対に戻る、戻ってみせる。仲間の待つグラウンドに。
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