第7回全国高等学校選抜クライミング選手権大会に出場する 関野 奏子さん 中井町半分形在住 18歳
ひた向きに壁に挑む
○…高さ15mもある人工壁。地面でロープを操作しクライマーの安全を確保するビレイヤーと組み、突起に手足をかけて到達距離を競う。垂直の壁は上に行くと覆い被さるような傾斜があり、握力や持久力は限界に達する。度胸と技術、身体能力で挑むリードクライミングを「楽しいからできる」と弾む笑顔で言い切る。
○…伊勢原高校山岳部に所属する3年生。11月の県大会で優勝を遂げ、埼玉県加須市で12月24日と25日に開催される全国大会へ初出場する。今月10日には、ロープなしで5m位までの壁を登るボルダリングのジャパンカップ予選にトライし、1月の本大会出場も決めた。「実力選手の動きを見ることができ、いい刺激になった。高校選手権に向けて自信もつきました」
○…3人姉妹の次女。庭の木に登って遊ぶ活発な子どもだった。中井中学校では陸上部でハードルに、器械体操にも打ち込む。瞬発力や柔軟性を培ったその経験は、クライミングに生かされているという。平日の放課後はジムに通い、年齢や実力もさまざまなクライマーたちと鍛錬。土日は自然の岩場でトレーニングを積む。「数をこなして適応力をつけたい」と意欲的だ。
○…大らかで快活なクライマーにもスランプがあったと打ち明ける。「難易度を下げ、ゆっくり丁寧に登ることをひたすら練習した」。冷静さと的確な決断。意外にも、飲料の自動販売機の前では「迷っているうちにお金がチャリンチャリンと戻ってきてしまう」とはにかむ。クライミングの魅力は、スタートからゴールまで頭の中でシミュレーションした通りに登った時の達成感だという。
○…「大会が近づくと、夕飯はヘルシーな献立に母がつき合ってくれます」。応援してくれる家族への感謝を口にする。競技前夜に心身の緊張をほぐし、爪の補強を兼ねて塗るネイルは「勝負の赤」。「将来は国体やW杯に出場したい」。高みを目指し続ける。